肝内胆管がんでは、手術で完全にがんを切除できなかったときや、手術自体が不可能だったときには、化学療法(抗がん剤治療)を行うことがあります。この場合、放射線治療を併用することもあります。また、根治手術を行ったときにも手術後の補助療法として化学療法を行う例があります。
肝内胆管がんで使われる抗がん剤の種類
長らく、胆道系のがん(肝内胆管がん、胆嚢がん、肝外胆管がんなど)には、有効な化学療法が存在しませんでした。しかし2000年以降、代謝拮抗剤のゲムシタビンやTS1などは、従来の抗がん剤よりも治療効果が高いと報告されるようになりました。
ほかにも、肝細胞がんや大腸がんなどで効果の高い「低用量FP(FC)療法」などが実施されています。
ゲムシタビンは、単剤でも、他の薬と併用でも用います。併用法では、同じ代謝拮抗剤のカペシタビンやフルオロウラシル、プラチナ製剤のシスプラチンやカルボプラチン、植物アルカロイドのイリノテカンと組み合わせる方法などが試されています。
治療を受けた患者数は少ないものの、ゲムシタビン単剤やその併用療法は、胆道系のがんに対して30~60パーセントの奏功率をもつと報告されています。いっぽうTS1はもともと混合薬剤であり、フルオロウラシルの効果を持続させ、同時にその副作用を抑えるはたらきをもちます。TS1は、単独でも、ゲムシタビンなどとの併用でも用いられます。
抗がん剤の投与法
投与の方法は、おもに、肝動脈から抗がん剤を注入する「動注療法」と「全身化学療法」の2つです。肝内胆管がんは肝細胞がんと異なり、血管に富む腫瘍ではありません。そのため、必ずしも動注療法のほうが効果が高いわけではないようです。
そのほか、胆管に抗がん剤を注入したり、腫瘍に抗がん剤を直接注入する手法も試みられています。患者の生活サイクルを考慮し、投与時間(夜間のみ投与など)を工夫する例もあります。
以上、肝内胆管がんの抗がん剤治療についての解説でした。