肺がんの治療をおこなったあとは、治療によってどの程度効果があったかを判定します。基本的な判定方法としてCTなどの画像検査をおこない、腫瘍の大きさがどのくらい変わったかを診断します。
肺がんの治療効果の判定基準
肺がん治療の効果は画像に基づきつぎの4段階で判定します。
1.完全奏功
治療後、すべての腫瘍が消えた状態が4週間続いた場合を、完全奏効(CR)と判定します。
2.部分奏功
すべての腫瘍は消えなかったものの、治療前と比べて腫瘍の長径の和が30%以上減少した状態が4週間つづいた場合を、部分奏効(PR)と判定します。
3.進行
それまでに記録された腫瘍長径のうち、最小のものと比較して腫瘍の長径の和が20%以上増加した場合を、進行(PD)と判定します。
4.安定
完全奏効や部分奏効ほどには腫瘍が減少していない場合や、進行ほどには腫瘍が増大していない場合を、安定(SD)と判定します。
奏功と奏効率とは
奏効とは、選択した治療法が意図していたとおりの治療効果をあげたことをいいます。また、治療の効果判定として用いられる奏効率とは、完全奏効と部分奏効を足した割合をいいます。
その後の治療の判断
初回の治療後、体内に依然としてがんが残っているものの部分奏効と判定された場合には、化学療法を行います。4~6コースの治療後、一時治療を停止して、しばらく休息期間を置いて治療の効果を確認するのが一般的です。
また、がんが大きくなり症状があらわれてきた場合には、全身状態などを考慮しながら、初回とは異なる抗がん剤などを使用して治療をおこないます。
ここで、注意しなければいけないことは、完全奏効と判定された場合でも、必ずしも完全治癒といえるわけではないということです。つまり、奏効率が高い場合でも、その後、再発することがあるのです。
奏功は一時的な状態を示す指標に過ぎないので最近では、治療の効果は奏効率よりも、その治療を受けた患者さんのうち50%が生存している期間を指標とするほうが信頼性が高いといわれています。
以上、肺がんの治療効果についての解説でした。