がん治療専門のアドバイザー、本村です。
当記事では子宮頸がんの再発・転移について解説します。
子宮頸がんの手術でがんを切除し、放射線や抗がん剤などで目に見える限りはがんをとり除いたあと、再びがんがあらわれるのが「再発」です。
再発は、大きく2つに分けて考えられます。ひとつは、病変を切除した付近の骨盤内に起こる再発で、これを「局所再発」といいます。
もうひとつは、がん細胞がリンパ管や血管を通り、遠くの臓器に運ばれて起こる「遠隔転移」で、骨盤内から離れた部位でがんが発生します。これらは、できる場所が違っても、同じように再発として考えられます。
例えば子宮頸がんのがん細胞が、肺に転移してできた「転移性の肺がん」は、もともと肺に発生する「原発性の肺がん」とは区別して考えられます。
それは、子宮頸部の細胞にできたがん細胞が肺に流れて行って、そこで増殖しても子宮頸部のがん細胞であって、肺の細胞になるわけではないからです。そのため、治療方法や薬も子宮頸がんに効果のあるものを考える必要があります。肺以外に転移した場合も同じです。
子宮頸がんが再発・転移しやすい部位とその症状
がんが再発しやすいところは、がんの種類によって、ある程度わかっています。子宮頸がんの再発は、遠隔転移よりも骨盤内に発生する局所再発が多く、手術したときの子宮頸部や膣の断端部によく起こります。また、子宮周囲の膣壁や直腸、膀胱、リンパ節などにも多く発生します。
遠隔転移する場合は、肺、脳、骨への転移が多くみられます。肺は、血液が流れて行く先なので、がんが転移しやすいのです。
子宮頸がんのがん細胞は、リンパ液に乗っても流れやすく、骨盤リンパ節のすぐ上にある腹部大動脈周囲リンパ節への転移もよく起こります。腹部大動脈周囲リンパ節は以前、傍大動脈リンパ節と呼ばれていたリンパ節です。
それぞれ、転移したときに起きやすい症状は次のとおりです。
・脳
頭痛がする
吐き気がする
・肺
咳が出て、なかなか治まらず悪化する
気管支に傷がついて血のまじった痰が出る
がんが肋間神経に刺激を与え胸が痛む
胸水がたまって呼吸困難になる
・骨盤内(局所再発)
おりものが増加する
不正出血がある
腹部が張る
(直腸に再発した場合)
下血したり血便が出たりする
(膀胱に再発した場合)
血尿が出る
尿が少なくなったり出なくなる
※がんが尿管を圧迫すると、腎臓がはれる「水腎症」を起こすこともあり、腹部が激しく痛みます。
がんが神経を圧迫し下半身がしびれる
・肝臓
体がだるい
腹部が張ったり痛くなったりする
黄疸が出る
・大動脈周囲リンパ節
・骨
転移した場所が痛む
骨折する
水腎症とは
尿管が詰まったり、がんなどで圧迫されたりして、尿が通りにくくなったために、腎臓から尿が出なくなって腎臓がふくらんだ状態を水腎症といいます。
尿の流れが悪いので細菌にも感染しやすく、2つある腎臓の両方とも水腎症になると、腎不全を起こす場合もあり、危険です。尿の量の変化には注意して、おかしいと思ったら受診しましょう。超音波で腹部をみると、腎臓の一部がはれて大きくなっているのがわかります。
以上、子宮頸がんの再発・転移についての解説でした。