子宮頸がんで行ういくつかの手術のうち「広汎子宮全摘出術」を行ったあとに多くの人が悩まされるのが、排尿障害です。(※手術の内容はこちら)
入院中に訓練をし、自分で排尿ができ、残尿が少なくなってから退院となりますが、退院してからも残尿感や排尿時の痛み、頻尿、うまく排尿できないといった症状がつづくことが多くみられます。
うまくできるようになっても、一時的にまた障害が起こることもあります。尿意を感じない場合でも、一定の間隔でトイレに行くことがポイントとされています。水の流れる音を聞くとトイレに行きたくなる、洋式便座なら前かがみになって少しおしりをあげると、排尿しやすいといった人もいます。自分なりに排尿の方法を工夫することた大切です。
排尿がうまくいっていないと、尿がたまりすぎて腰痛を起こすことがあります。また、細菌感染を招いて、膀胱炎や腎盂炎を起こします。すぐにトイレに行きたくなる、排尿時に痛い、といった症状があったら膀胱炎が疑われます。すぐに受診しましょう。
生活リズムを整えて便秘を予防する
排便障害も手術後、多くの人に起こります。特に起こりがちなのは便秘で、便意を感じにくくなったり、うまく排便ができなくなったりします。まずは生活リズムを整え、たとえ便意がなくても、毎日同じ時間にトイレに行くことを習慣にするよう指導されます。
食事はバランスよく、適量をとることを心がけます。便秘には食物繊維が豊富なものがいいと考えがちですが、手術後で働きが衰えている腸に対し、多量の食物繊維を摂るとかえって負担をかけることになり、逆効果です。
腸の動きをよくするために、適度な運動も大切です。便秘には精神的なことも影響するので、気分転換のためにも散歩やストレッチなどで、体を動かすようにしましょう。
便秘をほうっておけば食欲がなくなったり、腹痛を起こしたりします。ひどくなると腸閉塞を招くこともあります。なかなか解消されない便秘には、下剤の処方を主治医に相談してみましょう。
下剤の種類
下剤には大きく分けて、次の2種類があります。
・便をやわらかくするもの
かたくなってしまった便をやわらかくすることで、出やすくします。また、便がふくらむことで腸を刺激し、腸の運動を促す効果もあります。
・腸の運動を促すもの
腸を刺激して、腸が便を出そうと動くように促します。
どちらのタイプが自分に合っているかを判断するには、まず自分の状態を知ることが必要です。両方のタイプを組み合わせて使う場合や、漢方薬や整腸剤などを使うこともあります。薬に頼ってばかりいると、腸の働きがよけい悪くなってしまうこともあるので、主治医とも相談して上手に利用することが大切です。
排尿障害をやわらげる工夫
・尿意がなくても定期的にトイレに行くようにする
・おなかを軽く押す、前屈みになる、シャワートイレを利用して刺激を与えるなど、自分で排尿しやすい方法を見つける
・水分をしっかり摂取する(ただし、とりすぎはだめ)
・骨盤底筋を鍛える(肛門と膣を締めるようにし、しばらくそのままキープする)
・尿漏れがあるときは、尿漏れパッドを利用する
便秘を防ぐ工夫
・朝、起きぬけに冷たい水を飲む
・消化の悪いものは避け、消化のよい食事にする
・規則正しく食事をとる
・食べすぎない
・水分をしっかり摂取する(1日1リットル~1.5リットル)
・自分なりの方法でストレスを解消する
以上、子宮頸がん手術の後遺症についての解説でした。