08.子宮頸がん

【2026年更新】子宮頸がん手術後の排尿障害と排便障害を詳しく解説。広汎子宮全摘出術後の症状・原因・対策とケア方法

子宮頸がん手術後の排尿障害と排便障害

こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。

子宮頸がんの手術を受けた後、多くの患者さんが排尿や排便に関する悩みを抱えています。特に広汎子宮全摘出術を受けた場合、術後の排尿障害は高い確率で起こるため、事前に理解しておくことが大切です。

この記事では、子宮頸がん手術後に起こる排尿障害と排便障害について、その原因、具体的な症状、そして実践できる対策やケア方法を詳しく解説します。


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広汎子宮全摘出術とは何か

子宮頸がんの手術には、がんの進行度に応じていくつかの術式があります。初期の段階であれば円錐切除術や単純子宮全摘出術が選択されますが、進行した子宮頸がんに対しては「広汎子宮全摘出術」が標準的な治療として行われます。

広汎子宮全摘出術では、子宮と子宮頸部だけでなく、膣の上部約3分の1、子宮を支える靭帯(基靭帯、仙骨子宮靭帯)、膀胱や直腸に付着している組織の一部、そして骨盤リンパ節を広範囲に切除します。これは、がん細胞が周囲組織やリンパ節に広がる可能性を考慮し、確実にがんを取り除くために必要な手術です。

この手術は子宮頸がんのⅠb期からⅡa期の患者さんに対して行われることが多く、開腹手術または腹腔鏡手術、ロボット支援手術によって実施されます。手術時間は通常4時間から6時間程度で、入院期間は約2週間から3週間です。

なぜ排尿障害と排便障害が起こるのか

広汎子宮全摘出術を行うと、多くの患者さんに排尿障害や排便障害が起こります。これは手術によって膀胱や直腸の機能を調整している自律神経が影響を受けるためです。

骨盤内には膀胱や直腸の働きをコントロールする自律神経(骨盤神経叢)が複雑に走っています。広汎子宮全摘出術では、がんを確実に取り除くために子宮の周囲組織を広く切除しますが、その過程でこれらの神経が一時的にダメージを受けたり、引き伸ばされたりします。

近年では神経温存術式が発達し、可能な限り神経を残す努力がなされていますが、がんの位置や広がりによっては神経を完全に温存することが難しい場合もあります。また、神経を温存できた場合でも、手術による腫れや炎症の影響で一時的に神経の働きが低下することがあります。

膀胱の機能には、尿を溜める蓄尿機能と尿を出す排尿機能の2つがあり、これらは自律神経によって細かく調整されています。手術後は膀胱の感覚が鈍くなり、尿が溜まっていることを感じにくくなったり、膀胱を収縮させて尿を出す力が弱くなったりします。

直腸についても同様に、便意を感じる感覚や腸の蠕動運動をコントロールする神経が影響を受けるため、排便のリズムが乱れやすくなります。


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排尿障害の具体的な症状

手術後に起こる排尿障害には、さまざまな症状があります。患者さんによって症状の程度や種類は異なりますが、以下のような症状がよく見られます。

症状 詳細
尿意の低下 膀胱に尿が溜まっても尿意を感じにくくなる。気づかないうちに膀胱がいっぱいになっていることがある
排尿困難 尿を出そうとしても出にくい、出るまでに時間がかかる、力を入れないと出ない
残尿感 排尿後もまだ尿が残っている感じがする。実際に残尿があることも多い
頻尿 1日に何度もトイレに行きたくなる。夜間も複数回トイレに起きる
排尿時痛 尿を出すときに痛みや違和感を感じる
尿失禁 咳やくしゃみをしたときに尿が漏れる。切迫性の尿意で間に合わないこともある

入院中は導尿カテーテル(尿道に管を入れて尿を出す)を使用しますが、術後数日から1週間程度で抜去し、自分で排尿できるように訓練を行います。退院の目安は、自分で排尿ができ、残尿が少なくなることです。

しかし退院してからも排尿の問題は続くことが多く、完全に回復するまでには数か月から半年、場合によっては1年以上かかることもあります。ただし多くの患者さんは時間とともに徐々に改善していきます。

排尿障害への対策とセルフケア

排尿障害を軽減し、回復を促すためには、日常生活での工夫と継続的なケアが重要です。以下に具体的な対策を紹介します。

定期的な排尿の習慣化

尿意を感じにくくなっているため、尿意がなくても一定の間隔でトイレに行くことが推奨されます。例えば2時間から3時間おきにトイレに行く習慣をつけることで、膀胱に尿が溜まりすぎることを防ぎます。

膀胱に尿が溜まりすぎると腰痛を引き起こしたり、細菌感染のリスクが高まったりします。また、膀胱が過度に伸展されることで回復が遅れる可能性もあるため、定期的な排尿は重要です。

排尿を促す工夫

排尿しにくいときには、以下のような工夫が役立つことがあります。

水の流れる音を聞くと排尿しやすくなる患者さんもいます。トイレで水道の蛇口を開けて水を流し、その音を聞きながらリラックスすることで排尿反射が起こりやすくなることがあります。

洋式便座では、少し前かがみになっておしりを上げる姿勢をとると、膀胱への圧力がかかり尿が出やすくなります。また、下腹部を軽く手で押すことで膀胱を圧迫し、排尿を促すこともできます。

温水洗浄便座のビデ機能を使って会陰部に温かい水の刺激を与えると、排尿反射が起こりやすくなる患者さんもいます。自分に合った方法を見つけることが大切です。

水分摂取の管理

適切な水分摂取は排尿障害のケアにおいて重要です。水分が不足すると尿が濃縮され、膀胱炎などの尿路感染症のリスクが高まります。1日に1.5リットルから2リットル程度の水分を摂取することが推奨されます。

ただし、夜間頻尿で悩んでいる場合は、夕方以降の水分摂取を控えめにするという工夫も有効です。日中にしっかりと水分を摂り、夕食後は必要最小限にすることで夜間のトイレ回数を減らせることがあります。

骨盤底筋体操の実践

骨盤底筋は膀胱や子宮、直腸を下から支えている筋肉群で、排尿や排便のコントロールに重要な役割を果たしています。手術後は骨盤底筋を鍛えることで排尿機能の回復を促すことができます。

基本的な骨盤底筋体操の方法は、肛門と膣を締めるようにして5秒から10秒キープし、その後ゆっくりと緩めます。これを1セット10回として、1日に3セットから5セット行います。仰向けに寝た状態、座った状態、立った状態など、どの姿勢でも行えます。

体操は毎日継続することが大切です。すぐに効果が出なくても、数週間から数か月続けることで徐々に改善が見られることが多いです。

尿失禁への対応

尿漏れがある場合は、尿漏れパッドや吸水性の高い下着を使用することで、日常生活の不安を軽減できます。現在は薄型で目立たない製品も多く販売されており、外出時にも安心して使えます。

尿漏れがあることを恥ずかしく思って外出を控える患者さんもいますが、適切な対策をすることで活動的な生活を維持することができます。


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排便障害の具体的な症状と対策

排便障害も手術後に多くの患者さんに起こります。特に便秘に悩まされる方が多く、便意を感じにくくなったり、うまく排便できなくなったりします。

排便障害の症状

手術後の排便障害には次のような症状があります。

症状 詳細
便秘 排便回数が減る、便が硬くなる、排便に時間がかかる
便意の低下 便が溜まっていても便意を感じにくい
排便困難 力を入れても便が出にくい、残便感がある
腹部膨満感 お腹が張った感じがする、ガスが溜まる
下痢 便秘と下痢を繰り返すこともある

生活リズムを整えて便秘を予防する

便秘の予防と改善には、規則正しい生活リズムが基本となります。便意がなくても毎日同じ時間にトイレに行く習慣をつけることが推奨されます。特に朝食後は腸の動きが活発になるため、トイレに行く時間を確保するとよいでしょう。

朝起きたらすぐに冷たい水を1杯飲むことで、胃腸の動きが刺激されて排便反射が起こりやすくなります。朝のルーティンとして取り入れてみてください。

食事の工夫

食事はバランスよく適量を摂ることが大切です。便秘には食物繊維が良いと考えがちですが、手術後で腸の働きが弱っている時期に多量の食物繊維を摂ると、かえって腸に負担をかけて逆効果になることがあります。

食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、手術後は水溶性食物繊維を中心に摂取することが推奨されます。水溶性食物繊維は便を柔らかくし、腸内環境を整える働きがあります。海藻類、こんにゃく、果物などに多く含まれています。

また、発酵食品(ヨーグルト、味噌、納豆など)を摂取することで腸内環境を整えることも有効です。水分摂取も重要で、1日1リットルから1.5リットルを目安にしっかりと水分を摂りましょう。

消化の悪いものは避け、消化のよい食事を規則正しく摂ることが基本です。食べすぎは腸に負担をかけるので避けましょう。

適度な運動の重要性

腸の動きをよくするためには、適度な運動が欠かせません。術後の回復状況に応じて、散歩やストレッチ、軽い体操などで体を動かすようにしましょう。

運動には腸の蠕動運動を促す効果だけでなく、ストレス解消や気分転換の効果もあります。便秘には精神的な要因も影響するため、リラックスして過ごすことも大切です。

ただし、手術後間もない時期は無理をせず、主治医の指示に従って徐々に活動量を増やしていきましょう。

下剤の使用について

生活習慣の改善を行っても便秘が解消されない場合は、下剤の使用を主治医に相談しましょう。便秘を放置すると食欲不振や腹痛を起こしたり、ひどくなると腸閉塞を招くこともあります。

下剤には大きく分けて次の2種類があります。

下剤のタイプ 作用と特徴
便をやわらかくするもの
(浸透圧性下剤、膨張性下剤)
硬くなった便に水分を引き込んで柔らかくし、便のかさを増やすことで腸を刺激して排便を促す。比較的穏やかに作用し、習慣性になりにくい
腸の運動を促すもの
(刺激性下剤)
腸壁を直接刺激して蠕動運動を活発にし、排便を促す。効果は早いが、長期使用すると腸の機能が低下する可能性がある

どちらのタイプが自分に合っているかを判断するには、まず自分の便秘の状態を知ることが必要です。便が硬い場合は便を柔らかくする薬が、腸の動きが悪い場合は腸の運動を促す薬が効果的です。両方のタイプを組み合わせて使う場合や、漢方薬や整腸剤を使うこともあります。

薬に頼りすぎると腸の働きがかえって悪くなることもあるため、主治医と相談しながら上手に利用することが大切です。

医療機関への相談が必要な症状

排尿障害や排便障害は時間とともに改善していくことが多いですが、以下のような症状がある場合はすぐに医療機関に相談しましょう。

排尿に関しては、すぐにトイレに行きたくなる、排尿時に強い痛みがある、尿に血が混じる、発熱があるといった症状があれば膀胱炎や腎盂腎炎といった尿路感染症が疑われます。残尿が多い状態が続くと細菌感染を起こしやすくなるため、早期の治療が必要です。

排便に関しては、激しい腹痛、嘔吐、全く便が出ない、お腹が異常に張るといった症状がある場合は腸閉塞の可能性があります。腸閉塞は緊急性の高い合併症なので、これらの症状があればすぐに受診してください。

また、日常生活に支障をきたすほどの症状が続く場合や、時間が経っても改善が見られない場合は、泌尿器科や専門のリハビリテーション外来を受診することも検討しましょう。排尿障害の専門治療やバイオフィードバック療法など、さまざまな治療法があります。

回復までの期間と経過

排尿障害と排便障害の回復には個人差がありますが、一般的な経過について理解しておくことは重要です。

排尿障害については、術後3か月から6か月で多くの患者さんが改善を実感します。ただし完全に術前の状態に戻るわけではなく、軽度の症状が残ることもあります。神経が回復するまでには時間がかかり、1年から2年かけて徐々によくなっていきます。

排便障害も同様に、数か月から半年程度で生活リズムが整い、便秘のコントロールがしやすくなってきます。食事や運動の工夫、必要に応じた下剤の使用により、日常生活に支障のないレベルまで改善する患者さんが多いです。

焦らず、自分のペースで回復を目指すことが大切です。症状の変化を記録しておくと、改善の様子が客観的に把握でき、医師への相談もスムーズになります。

心理的サポートの重要性

排尿障害や排便障害は身体的な問題だけでなく、精神的な負担も大きいものです。トイレのことが気になって外出を控えたり、人と会うのが億劫になったりすることもあります。

こうした悩みを一人で抱え込まず、家族や医療スタッフに相談することが大切です。同じような経験をしている患者さん同士のサポートグループに参加することで、具体的な対処法を学んだり、精神的な支えを得られたりすることもあります。

必要に応じて、心理カウンセリングを受けることも選択肢の一つです。心身両面からのケアが、より良い回復につながります。

まとめ:前向きな療養生活のために

子宮頸がんの広汎子宮全摘出術後の排尿障害と排便障害は、多くの患者さんが経験する問題です。しかし適切な知識と対策により、症状を軽減し、生活の質を保つことができます。

大切なのは、症状を正しく理解し、日常生活での工夫を継続的に行うこと、そして必要なときには医療機関に相談することです。時間とともに改善していくこともありますので、焦らず自分に合った方法を見つけていきましょう。

参考文献・出典情報

1. 日本産科婦人科学会「子宮頸がん治療ガイドライン」
https://www.jsog.or.jp/

2. 国立がん研究センター がん情報サービス「子宮頸がん」
https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/index.html

3. 日本婦人科腫瘍学会
https://jsgo.or.jp/

4. 日本泌尿器科学会「女性下部尿路症状診療ガイドライン」
https://www.urol.or.jp/

5. 日本排尿機能学会
https://www.luts.gr.jp/

6. 厚生労働省「がん対策情報」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/gan/index.html

7. がん研究会有明病院「子宮頸がんの治療」
https://www.jfcr.or.jp/

8. 日本骨盤臓器脱・骨盤底再建学会
https://jspfr.jp/

9. 国立がん研究センター中央病院「婦人科がん手術後のケア」
https://www.ncc.go.jp/jp/

10. 日本がんサポーティブケア学会
https://jascc.jp/

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本村ユウジ
がん治療専門のアドバイザー・本村です。

私の仕事は【がん患者さんに正しい選択を伝えること】です。

「本村さん、おかげで元気になりました」

そんな報告が届くのが嬉しくて、患者さんをサポートしています。

→200通以上の感謝の声(これまでいただいた実際のメールを掲載しています)

しかし毎日届く相談メールは、

「医師に提案された抗がん剤が怖くて、手の震えが止まらない」

「腰がすこし痛むだけで、再発か?転移か?と不安で一睡もできなくなる」

「職場の人も家族さえも、ちゃんと理解してくれない。しょせんは他人事なのかと孤独を感じる」

こんな苦しみに溢れています。

年齢を重ねると、たとえ健康であっても、つらいことはたくさんありますよね。

それに加えて「がん」は私たちから、家族との時間や、積み重ねたキャリア、将来の夢や希望を奪おうとするのです。

なんと理不尽で、容赦のないことでしょうか。

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