初期の子宮頸がんは、自覚症状がほとんどありません。そのため、ある程度がんが進行して症状があらわれるようになってから、自分の体に起こっている異変に気づく人が多いのが特徴です。
子宮頸がんが進行していくと、性交時の出血はもちろんですが、おりものの量が増え、さらに悪臭を伴うようになります。また、子宮周辺にある膣壁や直腸、膀胱、骨盤壁などに広がっていくと、その部分にも症状があらわれ始めます。
膀胱に浸潤することで血尿や排尿障害、尿路閉塞などを起こしたり、直腸に浸潤することで血便や腸閉塞などを起こします。がんが神経を圧迫することで、腰や背骨、下腹部、下肢に痛みを感じることもあります。子宮頸がんに気づかないで放置していると、このようにどんどん症状があらわれてきます
子宮頸がんの原因はウイルス感染
子宮頸がんの原因は、HPV(Human Papilloma Virus)とも呼ばれるヒトパピローマウイルスの感染です。子宮頸がんの発症には、ほぼ100%このHPV感染が関連していると考えられています。
HPVは粘膜の接触によって感染するウイルスで、ほとんどが性交渉によって感染します。このHPVはけっして特別なウイルスではなく、どこにでもあるありふれたウイルスで、性経験のある女性の約80%は、このウイルスの感染経験があるとされています。ですから、性体験のあるすべての女性が、子宮頸がんになる可能性があるといえます。
HPVに感染しても子宮頸がんを発症するのは0.15%程度
では、なぜ子宮頸がんになる人とならない人がいるのでしょうか。それはHPVに感染しても、通常は自分の持っている免疫力によってウィルスを排除、もしくは潜伏させるため、ほとんどの場合はがんの発症には至らないからです。
ただ、少数の女性に限っては、感染したウイルスが排除されずに、感染した状態がつづき、前がん病変をつくり、その一部の人に子宮頸がんが発症します。
HPVに感染してから子宮頸がんを発症するまでに、数年~十数年かかるといわれています。もちろん、例外として進行が早いケースもありますが、一般的に長い時間があるので、定期的に子宮頸がん検診を受けていれば、がんになる前の段階で早期発見することが可能です。
発がん性の高い型と低い型があるヒトパピローマウイルス(HPV)
HPVとも呼ばれるヒトパピローマウイルスは、皮膚や粘膜に存在するウイルスです。HPVは「型」で分類される種類がたくさんあり、現在100種類以上が発見されています。そのうち15種類ほどが「発がん性HPV(ハイリスクHPV)」と呼ばれるもので、子宮頸がんの原因となります。
発がん性HPVのなかでも16型と18型が、特に発がんリスクが高いウイルスで、日本人の子宮頸がんの約70%はこの2つの型のHPVが原因です。
発がん性HPVは、性交渉のときに子宮頸部の上皮のちょっとした小さな傷から、上皮のいちばん下にある基底細胞に入り込んでいきます。これが最初の感染です。HPV感染が持続すると、一部の人に異形成が起こってきます。
しかし、たとえHPVに感染し、排除されずに異形成が生じても自然に治ってしまうことがほとんどです。
子宮頸がんの発症リスクを高める要因
このようにHPVが子宮頸がんの要因ですが、体内の環境が悪化することでがんの発症リスクが高くなります。今までの調査で分かっている主な要因は以下のとおりです。
・喫煙している
・不特定多数のセックス・パートナーがいる
・夫などパートナーの性交経験が多い
・妊娠・出産経験が多い
・クラミジアなどの性感染症にかかっている
・ピルを長期間服用している
・局所の不衛生喪
・不規則な食生活による栄養不足
以上、子宮頸がんとHPVについての解説でした。