子宮体がんが骨盤外に進展しているステージⅣ期では、全身に効果がある化学療法(抗がん剤治療)を行います。効果があらわれ、がんの範囲が縮小した場合は、子宮摘出術を行って原発の子宮体がんを切除することを目指すのが標準治療です。
子宮体がんの化学療法の進め方
子宮体がんが進行していて、診断時に、骨盤の骨、胸部大動脈周囲や左右の気管支周囲のリンパ節転移、鎖骨上窩のリンパ節転移・肺・脳、肝臓への転移などが認められる場合には、次のような薬を使う治療が提案されます。
ドセタキセル(タキソテール)60mg/㎡+シスプラチン(ランダブリプラチン)60mg/㎡(DP療法)、ドキソルビシン(アドリアマイシン)50mg/㎡+シスプラチン50mg/㎡(AP療法)、パクリタキセル(タキソール)175mg/㎡+カルボプラチン(パラプラチン)AUC5(TC療法)のいずれかを用います。これらの化学療法は、3~4クール行われます。
抗がん剤治療が効果を示した場合
化学療法をいったん休止して、骨盤内の原発病巣に対して、子宮摘出術を実施できるかどうかを検討することになります。
子宮体がんでは止血のための放射線照射は可能ですが、がんを攻撃するための放射線治療は子宮頸がんと異なり困難です。そこで、子宮内外のがんの状態が抗がん剤で落ち着いている場合は子宮摘出術を行うことが優先されます。
ステージⅣ期の子宮体がんは病院の治療では対処しきれず、いくら化学療法が効果を示してもいずれ耐性ができて(効きが悪くなる)、がんは増悪します。
手術をしてもがんを治せるわけではないですが、そのままがんが悪化するよりかは患部を摘出するほうが生活の質もよくなると考えて、手術を検討するのです。したがって手術が成功したとしても他の転移病巣に対して、化学療法が再開されることになります。
抗がん剤が効果を示さない場合
抗がん剤の他に病院で行える「がんに対する治療」はないため、病状や苦痛を和らげるBSC(ベスト・サポーティブ・ケア)といわれる対処療法に専念します。
例えば便や尿が漏れ出る場合には、人工肛門をつくり、また尿排泄路を新しくつくります。出血がひどければ、動脈内に小金属コイルなどで作成した詰め物で、主なる栄養動脈を閉塞させて止血します。
骨転移で痛みが強い場合や骨折の恐れが強い場合は、痛みの緩和を目的とした照射(1回線量を多く、例えば6グレイにして5回照射で合計30グレイ)で鎮痛を図り、骨折を予防します。脳転移が発生した場合は意識障害を起こしたりしてQOLを悪化させるので、定位放射線治療(ガンマナイフ)が行われます。
以上、子宮体がんの化学療法についての解説でした。