食道がんと診断されたとき、まずは自分のがんが、どれくらいの進み具合(ステージ・病期)であるのかを正確に把握することが大切です。一口に食道がんといっても、その進み具合に応じて治療方法がまったく違ってくるからです。
ステージ(病期)を判定するときに重要なのは、食道がんが食道の壁のどの深さまで達しているのかという点、それと、がんがリンパ節やほかの臓器へ広がっていく、「転移」を起こしていないかどうかという点です。
食道がんの治療の三本柱は、手術・化学療法(抗がん剤治療)・放射線療法による治療です。がんの進み具合に応じて、この三本柱の治療を組み合わせる「集学的治療」が行われます。また、早期のがんには身体的な負担の少ない内視鏡を用いた切除も適応となります。
もし、治療方針に不安を感じたとき、あるいは納得できないときには、別の病院の専門医の意見を聞く「セカンド・オピニオン」というシステムがあります。遠慮せずに、担当医へ申し出ましょう。
食道がんの進み具合を決定する基準
食道がんであるとの診断が確定したら、治療方針を決定しなくてはなりません。治療方針の決定のためには、がんの進み具合(ステージ・病期)を調べる必要があります。がんの進み具合を決定するための基準は、次の3つです。
・がんが食道の壁のどの深さまで達しているか(深達度)
・リンパ節へのがんの広がりの程度(リンパ節転移度)
・ほかの臓器へのがんの広がりの程度(遠隔転移)
これらを調べるために、内視鏡検査、X線検査やCT、MRI、超音波検査、FDG-PET検査などが行われます。食道のそばには気管がありますので、食道がんの深達度が深く、気管への広がりが疑われる場合には、気管支鏡検査なども検討されます。
食道がんが進行していて、食事がとれないようなケースでは入院して、栄養補給を行いながら検査が進められますが、一般的にはこれらの検査は通常外来で行われるものです。
そして、これらの検査の結果から、総合的にがんの進み具合を示すステージ(病期)が決定されます。ステージが確定すると、「食道癌診断・治療ガイドライン」などを参考にして、治療法が決定されます。医師はこのガイドラインを基礎として治療法を提案することになります。
以上、食道がんに関する解説でした。