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24.放射線治療

【2026年更新】IMRT(強度変調放射線治療)とは?照射方法・メリット・デメリット・費用・後遺症を分かりやすく解説

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こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。

がん治療における放射線療法は、手術、薬物療法と並ぶ三大治療法の一つとして、多くの患者さんの治療に用いられています。その中でも、近年注目を集めているのがIMRT(強度変調放射線治療)です。

この治療法は、コンピュータ技術の進歩により実現した高精度な放射線治療で、がん病巣に集中して線量を照射しながら、周囲の正常組織への影響を最小限に抑えることができます。

本記事では、IMRTの特徴や照射方法、メリット・デメリット、費用、後遺症について、最新の医療情報を基に詳しく解説します。


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IMRTとは何か

IMRT(Intensity Modulated Radiation Therapy)は、日本語で「強度変調放射線治療」と呼ばれる放射線治療法の一つです。従来の放射線治療では、照射野内の放射線の強さはすべて均一でしたが、IMRTでは照射野内で線量の強弱をつけることができます。

具体的には、複数の異なる強度のビームを組み合わせて照射することで、複雑な形状のがん病巣にも適合した線量分布を作ることが可能になりました。これにより、がん病巣に凹凸があっても、その形状に合わせた精密な照射ができます。

この技術を実現しているのが、マルチリーフコリメーター(MLC)と呼ばれる装置です。MLCは放射線を遮る特殊な金属板(タングステン製)が複数並んでおり、左右60枚ずつ、計120枚の細長い板がじゃばらのように開閉することで、様々な形状を作り出します。

治療計画の段階では、医師が照射する部位と線量を指示し、医学物理士がコンピュータを使って何万通りものパターンを計算し、理想的な線量分布を作成します。この綿密な計画と高度なコンピュータ制御により、従来では実現困難だった精密な照射が可能になりました。

IMRTの主な適応症

2010年4月からIMRTの保険適用が「限局性固形悪性腫瘍」へ拡大され、大多数のがんに対する根治照射が保険診療で可能となりました。ただし、転移があるがんは対象外となります。

現在、IMRTが特に効果的とされている代表的ながん種は以下の通りです。

がんの種類 IMRTの効果
前立腺がん 直腸や膀胱への線量を抑えながら前立腺に高線量を照射可能。最も実績のある適応症
頭頸部がん 脊髄や視神経など重要な臓器を避けながら腫瘍に照射。口の渇きや味覚障害の軽減
脳腫瘍・中枢神経腫瘍 正常な脳組織への影響を最小限にしながら腫瘍部分に集中照射
食道がん 心臓や肺など周囲の重要臓器を保護しながら治療
子宮がん・婦人科がん 膀胱や直腸への線量を低減
膵臓がん 周囲の消化管への影響を抑制
肝臓がん 正常肝組織の温存
直腸がん・肛門がん 肛門機能の温存

また、近年では体幹部定位放射線治療と組み合わせることで、椎体転移や少数個の転移(オリゴ転移)症例でもIMRTが使用されるようになっています。


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IMRTの照射方法と線量分布の特徴

IMRTの照射方法には、いくつかの特徴的な技術があります。

固定角度からの照射

従来のIMRTでは、5~7つの固定された方向から、それぞれ強度を変調した放射線を照射します。前立腺がんの場合、7つの方向から照射するのが一般的です。各方向からの照射で、マルチリーフコリメーターが形を変えながら、理想的な線量分布を作り出します。

VMAT(回転型IMRT)

2015年頃から主流となっているのが、VMAT(Volumetric Modulated Arc Therapy、回転型強度変調放射線治療)です。VMATでは、放射線を照射する装置(ガントリ)が患者さんの周りを回転しながらIMRTを行います。

VMATの利点は、従来のIMRTと比較して、より良好な線量分布を実現しながら、照射時間を1分半から2分程度に大幅に短縮できることです。これにより、患者さんの負担が軽減されます。

画像誘導放射線治療(IGRT)との組み合わせ

IMRTでは、治療の精度を高めるため、照射直前に毎回CT撮影(CBCT: Cone Beam CT)を行い、位置合わせをします。これにより、体内の微妙なズレを補正し、より正確な照射が可能になります。

IMRTのメリット

IMRTには以下のような多くの利点があります。

1. がん病巣への線量集中

複雑な形状のがん病巣に対しても、その形に合致して線量を集中させることができます。従来の方法では困難だった不整形な腫瘍にも対応可能です。

2. 正常組織の保護

照射野内に不均等な線量分布を作成できるため、がんの周囲にある重要な臓器や組織への線量を低減できます。例えば、前立腺がんの治療では、直腸への線量を最小限に抑えることで、直腸出血などの副作用を減らせます。

従来の3D-CRTでは15~20%の患者さんに直腸出血が見られましたが、IMRTでは3.3~5%程度にまで減少したという報告があります。

3. 照射マージンの縮小

高精度な位置合わせにより、照射野のマージン(余裕)を小さくできます。これにより、正常組織への照射線量と有害事象をさらに減少させることができます。

4. 線量増加(ドーズエスカレーション)の実現

正常組織を保護しながら、がん病巣には従来より高い線量を照射できます。これにより、治療効果の向上が期待できます。

5. 副作用の軽減

頭頸部がんでは、IMRTにより耳下腺への線量を減らすことで、口の渇き(口腔乾燥)や味覚障害を軽減できます。前立腺がんでは、性機能が約半数の患者さんで保たれるという報告もあります。

6. 通院治療が可能

1回の治療時間は15~30分程度で、入院することなく通院で治療を受けられます。患者さんの日常生活への影響を最小限にできます。


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IMRTのデメリットと注意点

一方で、IMRTにはいくつかの課題もあります。

1. 治療開始までの準備期間

IMRTは複雑な治療計画が必要なため、CT撮影から治療開始までに1~2週間程度の準備期間がかかります。緊急性の高い場合には、従来の照射方法の方が適している場合があります。

2. 厳密な固定の必要性

治療の精度を保つため、患者さんの体を固定具でしっかり固定する必要があります。人によっては窮屈に感じる場合があります。また、痛みなどでじっとできない場合は治療が困難なこともあります。

3. 呼吸による臓器の動きへの対応

肺がんなど呼吸により動く臓器に対しては、呼吸同期装置を用いる必要があり、治療の複雑さが増します。場合によっては、金属マーカーを腫瘍付近に留置して位置を追跡することもあります。

4. 高度な設備と専門スタッフの必要性

治療装置や周辺機器が高価で、医学物理士などの専門スタッフも必要です。そのため、すべての施設で実施できるわけではありません。IMRTを実施するには、厚生労働省が定める厳しい施設基準を満たす必要があります。

5. 治療範囲の限定

照射範囲をがんに集中できる反面、画像上は問題なかったが実際にはがんが浸潤していた領域があった場合、そこから再発する可能性もあります。そのため、がんの広がりを正確に診断することが重要です。

IMRTの費用と保険適用

IMRTは2010年から限局性固形がんに対して健康保険が適用されています。ただし、転移があるがんは対象外となります。

治療費は照射方法、部位数、照射回数によって異なりますが、以下が目安となります。

がんの種類 照射回数 総費用(概算) 自己負担額(3割の場合)
前立腺がん 38回 約145万円 約44万円
前立腺がん(短期照射) 12~20回 約110~130万円 約34~40万円
頭頸部がん 33~35回 約130~140万円 約40万円前後
子宮がん 28回 約120万円 約36万円

これらの費用には、初診料、再診料、文書料などが別途加算されます。また、入院治療の場合は入院費が追加でかかります。

健康保険が適用されるため、高額療養費制度を利用することができます。高額療養費制度を利用すれば、所得に応じた自己負担限度額を超える部分については払い戻しを受けることができます。詳しくはご加入の健康保険窓口にお問い合わせください。

副作用と後遺症について

IMRTは従来の放射線治療と比較して副作用の頻度は少なくなりますが、副作用が全く出ないわけではありません。副作用は、治療中から治療後早期に出現する早期有害事象と、治療後数ヶ月以降に出現する晩期有害事象に分類されます。

前立腺がんIMRTの場合

早期有害事象として、頻尿、排尿時痛、膀胱刺激症状、排尿困難、血尿などの排尿症状や、下痢、軟便、頻便、排便時痛などの消化器症状が見られることがあります。これらの症状は比較的高頻度に見られますが、ほとんどが一過性で、治療終了後数週間から3~6ヶ月で改善します。

晩期有害事象としては、血便や血尿、排尿障害(尿道狭窄、尿閉)などがあります。ある施設の報告では、消化器系の晩期副作用(血便など)は17.6%に見られましたが、治療を要するもの(Grade 2以上)は2.8%でした。また、IMRT終了後4年以降に重度の晩期副作用を発現した患者さんはいなかったとされています。

尿路系の晩期副作用(血尿など)は4.7%、治療を要するものは1.7%でした。

頭頸部がんIMRTの場合

IMRTにより唾液腺(耳下腺)への線量を減らすことで、口腔乾燥や味覚障害を軽減できます。ただし、病変の位置によっては、視力障害、脳神経障害、開口障害、摂食時の鼻逆流、甲状腺機能低下などが生じることがあります。

まれに、脳壊死や脊髄障害などの重篤な副作用が生じる可能性もありますが、通常はこれらの重篤な副作用が発生しないよう、慎重に治療計画を行います。

治療の流れ

IMRTの治療は以下のような流れで進められます。

段階 内容 所要時間
1. 診察 医師が患者さんの状態や希望を確認し、IMRTの適応について検討 -
2. 固定具作成 治療時に体が動かないよう固定具を作成 -
3. 治療計画用CT撮影 治療計画を立てるためのCT撮影。場合によってはMRIも撮影 約30分
4. 治療計画 医師と医学物理士が専用コンピュータで最適な治療計画を作成 1~2週間
5. 事前検証 模擬的に照射を行い、計画通りの線量が照射されるか検証 -
6. 治療開始 実際の照射開始。毎回CBCTで位置確認後に照射 1回15~30分

治療期間は疾患によって異なりますが、前立腺がんでは従来は6~8週間(37~39回)でしたが、近年では短期照射(2週間半~4週間、12~20回)も選択できるようになっています。頭頸部がんでは約7週間(33~35回)が一般的です。

治療成績

IMRTの治療成績は良好で、多くのがん種で従来の治療法と同等以上の成績が報告されています。

前立腺がんでは、ある施設の466例の報告によると、5年生存率は98.5%、5年無再発生存率は97.0%と優れた成績が示されています。前立腺がんが原因で死亡された方はいませんでした。

また、手術療法と比較しても同等の治療成績が得られており、特に中リスク以上の患者さんでは、手術よりも性機能が保たれる可能性が高いというメリットもあります。

まとめ

IMRT(強度変調放射線治療)は、コンピュータ技術の進歩により実現した高精度な放射線治療法です。複雑な形状のがん病巣に線量を集中させながら、周囲の正常組織への影響を最小限に抑えることができます。

2010年から限局性固形がんに対して保険適用となり、前立腺がん、頭頸部がん、脳腫瘍、婦人科がんなど幅広いがん種に使用されています。治療成績は良好で、副作用も従来の放射線治療と比べて軽減されています。

一方で、治療計画に時間がかかることや、高度な設備と専門スタッフが必要なことなどの課題もあります。IMRTが適しているかどうかは、がんの種類、病状、患者さんの状態によって異なるため、主治医とよく相談して治療方針を決定することが大切です。

参考文献・出典情報

  1. 国立国際医療研究センター病院「強度変調放射線治療(IMRT)」
  2. 京都大学医学部附属病院 放射線治療科「強度変調放射線治療(IMRT/VMAT)」
  3. 慶應義塾大学病院 KOMPAS「強度変調放射線治療(IMRT)」
  4. 関西医科大学附属病院「IMRT(強度変調放射線治療)について」
  5. QLife「前立腺がんの強度変調放射線治療(IMRT)」
  6. 国保旭中央病院「放射線治療のよくある質問」
  7. 彩都友紘会病院「前立腺癌の放射線治療成績」
  8. 鳥取大学医学部 腎泌尿器学分野「強度変調放射線治療(IMRT)」
  9. 日本頭頸部癌学会「放射線治療」
  10. 国立がん研究センター東病院「診療について」

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本村ユウジ
がん治療専門のアドバイザー・本村です。

私の仕事は【がん患者さんに正しい選択を伝えること】です。

「本村さん、おかげで元気になりました」

そんな報告が届くのが嬉しくて、患者さんをサポートしています。

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