肺がんの外部照射治療にかかる費用は、放射線の種類や照射法で異なります。ここでは、通常のリニアックによる対向2門照射法と定位照射法、重粒子線治療法の3つの場合について触れます。
1.リニアックによる対向2門照射法
普通、治療は1日に1回、1週間に5回、全部で30回照射されます。
この場合の治療費は、放射線治療管理料が2700点、体外照射料が840点×30回=2万5200点、医療機器安全管理料2が1100点、放射線治療専任加算料が330点必要です。合計点数は2万9330点になります。つまり治療費は29万3300円になります。
外来の場合には、この費用に加えて、外来放射線治療加算の100点、7日ごとに外来放射線照射初診料の280点がかかります。また、照射日数が30日であれば、1120点が必要になります。治療総額は30万5500円です。
健康保険が適用できますので、3割負担とすれば、入院の場合は8万7990円、外来の場合は9万1650円となります。
2.リニアックによる定位照射法
治療費は線量配分が違っても一連で6万3000点で63万円です。この場合の照射回数は3回、5回、7回、10回・・・とさまざまです。そのほかに、放射線治療管理料が4万円、動態追尾法加算が10万円、医療機器安全管理料2加算が1万1000円、専任加算料が3300円追加されます。
総額は78万4300円です。これには保険診療が適用されますので、3割負担の場合23万5290円になります。
3.重粒子線治療法
重粒子線治療法のうち日本でおこなわれているのは、陽子線治療と炭素線治療です。
これらは自由診療であり、治療費は高額です。陽子線治療と炭素線治療がどうして保険診療の適用にならないのかという理由は、リニアックによるエックス線治療よりも治療成績が優れていることが証明されていないからなのです。
いっぽうで重粒子線治療施設と保険会社は一緒になって、陽子線治療や炭素線治療は線量分布や生物学的効果に優れ、効果の高い最新がん治療と宣伝していますが、がんの治療は理論通りにはいきません。このことが見逃されて国民に知らされています。
a.陽子線治療法
陽子線を用いた肺がんの治療法は、保険適用ではなく、自由診療です。患者は病院の自由診療による設定価格を自己負担で支払うことになります。陽子線の治療費は一連で288万3000円程度です。非常に高額な治療費になります。
b.炭素線治療法
炭素線治療の場合も、陽子線治療と同様に保険診療の対象にはなりません。
病院の自由診療の設定価格を自己負担で支払うことになります。炭素線の治療費は一連で314万円程度です。陽子線治療よりも高額な費用になります。
以上、肺がんの放射線治療費についての解説でした。
がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。
納得できる判断をするためには正しい知識が必要です。