【レジメン】
Gefitinib(ゲフィチニブ:イレッサ)=1回250mg:1日1回経口 連日投与 PD(増悪)まで
基本事項
【適応】
EGFR適伝子変異陽性の手術不能または再発非小細胞肺がん
【奏効率(効果)】
・奏効率
62.1%
・病勢コントロール率
93.1%
・無増悪生存期間
9.2カ月
【副作用】
・発疹:All Grade=74%、Grade3以上=2%
・下痢:All Grade=47%、Grade3以上=1%
・皮膚乾燥:All Grade=47%、Grade3以上=0%
・疲労:All Grade=34%、Grade3以上=2%
・爪囲炎:All Grade=28%、Grade3以上=1%
・口内炎:All Grade=19%、Grade3以上=0%
・悪心:All Grade=15%、Grade3以上=1%
・便秘:All Grade=14%、Grade3以上=0%
・AST上昇:All Grade=61%、Grade3以上=14%
・ALT上昇:All Grade=61%、Grade3以上=24%
レジメンチェックポイント
①1日1回、食前・食後などの規制はないが、高齢者は無酸症が多いことから食後の服用が望ましい(低胃酸状態が持続する場合は吸収が低下し、血中濃度が減少し作用が減弱する)
②相互作用
・制酸薬(プロトンポンプ阻害薬、H2ブロッカー)を服用していないか確認する(胃内pH5.0以上を持続した場合、AUCが50%減少した報告がある)
・アゾール系抗真菌薬、マクロライド系抗菌薬、カルシウム拮抗薬、ベンゾジアゼピン系薬剤など、CYP3A4を阻害する薬剤や基質となる薬剤を併用していないか<CYP3A4阻害薬の併用により代謝が阻害され、血中濃度が増加し、副作用が強くあらわれることがある(イトラコナゾールとの併用でAUCが約80%増加した報告がある)>
・フェニトイン、カルバマゼピン、リファンピシン、バルビツール酸系薬物、セイヨウオトギリソウ(St.John's wort)など、CYP3A4を誘導する薬剤を併用していないか<CYP3A4誘導薬の併用により代謝が亢進され、血中濃度が低下し、効果が減弱することがある(リファンピシンとの併用でAUCが約17%減少した報告がある)>
・ワルファリンを併用していないか、INR値増加や出血があらわれたとの報告があるため、定期的にプロトロンビン時間またはINR値のモニターを行う
副作用対策と服薬指導のポイント
①急性肺障害間質性肺炎:急性肺障害、間質性肺炎があらわれることがあるので、胸部X線検査などの観察を十分に行う。また、患者には初期症状(風邪のような症状:発熱、息切れ、咳)を伝え、早期の医療機関への受診について指導する
※投与開始初期に発生し、致死的な転帰をたどる例が多い
②皮膚障害:発疹、ざ瘡様皮疹が強くあらわれることが多いため、あらかじめ症状などを説明しておく必要がある。対応については以下のアルゴリズムを参照
<ざ瘡様皮疹の治療指針>
・軽症
副腎皮質ステロイド外用薬を用いる。部位により、medium~very strongの軟膏、クリーム、ローション基剤を選択する。頸部はローション剤、顔面・体幹は軟膏、クリーム剤が使いやすいが、ローション剤やクリーム剤は時に刺激を感じることがあり、基剤選択にも留意する。なお、ミノサイクリンの予防内服も有用である。原疾患の治療は継続可能である
・中等症
軽症よりランクアップした副腎皮質ステロイド外用薬を用いる。なお、掻痒を伴う場合は、抗アレルギー薬を併用するが、接触性皮膚炎や白癬を併発していることがあり、悪化するときには皮膚科専門医の介入が必要である。なお、原疾患の治療は継続可能である。ミノサイクリン100~20Omg/日内服が目安となる
・重症
原疾患の治療薬を休薬のうえ、皮膚科専門医へ紹介する。基本的には、2週間を目安に副腎皮質ステロイドを内服で投与する
③下痢:重篤な下痢を発症する場合もあるため、患者観察時には脱水などの症状に留意し、早期の対処療法(整腸薬、ロペラミドなど)を行う
④毎日決まった時間に服用することを指導し、飲み忘れに気が付いた場合はすぐ1錠服用し、2錠一度に服用しないように伝える