【レジメン】
Ceritinib(セリチニブ:ザイカディア )=1回450mg:1日1回 食後 経口 連日投与 PD(増悪)まで
基本事項
【適応】
ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
【奏効率】
<ASCEND-4試験(一次治療)>
・奏効率(CR+PR)
72.5%
・病勢コントロール率(CR+PR+SD)
88.9%
・無増悪生存期間(中央値)
16.6カ月
・全生存期間(中央値)
未到達
<ASCEND-5試験(ニ次治療)>
・奏効率(CR+PR)
39.1%
・病勢コントロール率(CR+PR+SD)
76.5%
・無増悪生存期間(中央値)
5.4カ月
・全生存期間(中央値)
18.1カ月
【副作用】(ASCEND-4試験)
・悪心:All Grade=69%、Grade3以上=3%
・嘔吐:All Grade=66%、Grade3以上=5%
・下痢:All Grade=85%、Grade3以上=5%
・食欲減退:All Grade=34%、Grade3以上=1%
・疲労:All Grade=29%、Grade3以上=4%
・AST上昇:All Grade=53%、Grade3以上=17%
・ALT上昇:All Grade=60%、Grade3以上=31%
・QT延長:All Grade=9.1%、Grade3以上=1.2%
・好中球減少症:All Grade=5%、Grade3以上=1%
・肺臓炎:All Grade=1.3%、Grade3以上=0.9%
レジメンチェックポイント
①服用タイミングの確認
Ceritinibは承認当初1回750mg1日1回空腹時の内服であったが、後の検討にて1回750mg1日1回空腹時の内服と1回450mg1日1回食後の内服におけるCmaxおよびAUCが同程度との報告により、1回450mg1日1回食後の内服に変更となっている
②副作用に対する休薬・減量および中止基準の確認
下記基準により1日150mgで投与継続が困難な場合には、本剤を中止すること
・間質性肺疾患:Gradeを問わない=投与中止
・肝機能障害:Grade1以下のAST増加またはALT増加、かつGrade2の血中ビリルビン増加。Grade2または3のAST増加またはALT増加、かつGrade1以下の血中ビリルビン増加=AST増加、ALT増加および血中ビリルビン増加がGrade1以下に回復するまで休薬する。投与再開時には、7日間以内に軽快した場合は休薬前と同じ投与量、7日間を超えて軽快した場合は投与量を150mg減量する。
Grade1以下のAST増加またはALT増加、かつGrade3の血中ビリルビン増加。Grade2以上のAST増加またはALT増加、かつ正常上限の1.5倍超、2倍以下の血中ビリルビン増加=AST増加、ALT増加および血中ビリルビン増加がGrade1以下に回復するまで休薬する。7日間以内に軽快した場合は、投与量を150mg減量して投与再開する。7日間以内に軽快しない場合は投与中止する。
Grade4のAST増加またはALT増加、かつGrade1以下の血中ビリルビン増加=AST増加およびALT増加がGrade1以下に回復するまで休薬する。投与再開時には投与量を150mg減量する。Grade4の血中ビリルビン増加。Grade2以上のAST増加またはALT増加、かつ正常上限の2倍超の血中ビリルビン増加=投与中止
・QT間隔延長:QTc500msec超が2回以上認められた場合=ベースラインまたは481msec未満に回復するまで休薬する。投与再開時には投与量を150mg減量する。QTc500msec超、またはベースラインからのQTc延長が60msec超、かつTorsade de pointes、多形性心室性頻脈または重症不整脈の徴候・症状が認められた場合=投与中止
・徐脈:症候性で治療を要する重篤な場合=無症候性または心拍数が60bpm以上に回復するまで休薬する。投与再開時には投与量を150mg減量する。生命の危険があり緊急治療を要する場合=投与中止
・悪心、嘔吐、下痢:Grade3以上。適切な制吐薬または止瀉薬の使用にもかかわらずコントロールができない場合=Grade1以下に回復するまで休薬する。投与再開時には投与量を150mg減量する
・高血糖:適切な治療を行っても250mg/dLを超える高血糖が持続する場合=血糖コントロールができるまで休薬する。投与再開時には投与量を150mg減量して再開する
・リパーゼまたはアミラーゼ増加:Grade3以上=Grade1以下に回復するまで休薬する。投与再開時には投与量を150mg減量する
③併用薬の確認
・QT延長を引き起こしやすい薬剤(抗不整脈薬・向精神薬など)を使用している患者は、併用によりQT延長が増強する可能性があるため、特に注意が必要である
・アゾール系抗真菌薬(ミコナゾールなど)やエリスロマイシン、クラリスロマイシン等の併用によりCYP3Aを阻害し、Ceritinibの血中濃度が上昇して副作用が強くあらわれることが考えられる
・ワルファリンやフェニトインなどのCYP2C9の基質となる薬剤の併用は、CeritinibによるCYP2C9阻害による血中濃度の上昇による副作用増強に注意する
・プロトンポンプ阻害薬等の胃内pHを上昇させる薬剤の併用により、Ceritinibの溶解性低下による血中濃度低下にも注意する
④リパーゼ・アミラーゼ上昇
本剤投与開始前および投与中は定期的に検査が実施されていることを確認する
副作用対策と服薬指導のポイント
①間質性肺疾患:急性肺障害、間質性肺疾患があらわれることがあるので、患者には初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱など)を伝え、早期の医療機関への受診について指導する
②QT延長:QT延長を引き起こす可能性があるため、定期的に心電図や電解質検査を実施しているか確認する。特にQT延長を引き起こしやすい薬剤を併用している場合には、注意が必要である
③悪心・嘔吐:開始後より悪心・嘔吐が生じる可能性があるため、無理せず医療従事者に相談するように説明する。必要に応じて制吐薬の使用を考慮する
④下痢:下痢により脱水症状があらわれる可能性があるため、下痢の時は水分補給をするように促す。必要に応じてロペラミドなど、下痢止めなどで対症療法を行う