病気になったとき、「他の病院にも行って、意見を聞きたいな」と思った経験を持つ人は多いと思います。「診察結果は正しいのか?他に治療法はないのか?」という純粋な疑問がでてきたとき、他の病院にも行きたいといく気持ちが出てくるはずです。
がん治療は、病院ごとの格差はなくなってきましたが、それでも診察結果や治療法の提案については、医師の個々の判断によって大なり小なり差が生じます。ましてや命のリスクに直結する病気ですので、確かな診断と納得性のある治療法の選択が重要です。
ですので、特に疑問点がなくとも、他の医師の見解も聞いたうえで納得する、というステップを踏んだほうがよいといえます。
では、どのようにして「がん治療におけるセカンドオピニオン」を進めるべきでしょうか。
■ステップ1
「現在の担当医に診療情報提供書(紹介状)などの資料の準備を依頼する」
診断についてのセカンドオピ二オンを聞く場合、どのような検査に基づいて診断されたのか、治療に関する場合にはどのような検査結果(乳がんの性格、病期、経過、病状など)に基づき、どのような治療が提案されているのか、転移・再発であれば、それまでの治療内容をセ力ンドオピ二オンを提供する医師に正しく伝える必要があり、担当医に「診療情報提供書」の作成を依頼する必要があります。
診療情報提供書の作成を依頼できないような場合、患者さん自身が正しく説明することができれば、必ずしも診療情報提供書はなくてもセカンドオピ二オンを聞くことはできます。
とはいえ、多くの場合、資料には検査データ(血液検査や画像診断結果など)の具体的な情報が必要ですので、まずは主治医に相談してみましょう。
■ステップ2
「セカンドオピニオンを提供してくれる医療機関を探す」
セ力ンドオピ二オンを提供している医療機関は、系統立って表示されるなどの取り決めはありません。インターネットで探す、患者団体の相談窓口に聞いてみる、担当医、看護師に聞いてみるなど、いろいろな方策をがあります。
■ステップ3
「セカンドオピニオン外来を受診する」
予約が必要な場合が多いので、突然訪問するのではなく、どういった方針でセカンドオピニオンを受けつけているのかなどをHPなどをみて調べておきましょう。
また、1人で受診するよりも聞き漏らしを少なくできるので、家族、友人などに同行してもらうのは効果的です。
限られた時間に効率よく質問するために知りたいことを箇条書きにしておくとよいでしょう。できればセカンドオピ二オンを提供した医師から担当医宛に出ている情報提供書に目を通しておくのもよい準備だといえます。
■ステップ4
「現在の担当医と相談する」
セカンドオピ二オンを聞いたうえで、現在の担当医に会い、今後についてどうしたいか、などの考えを伝えます。もし転院あるいは転医を希望する場合には、その旨を担当医に伝えましょう。
・セカンドオピニオンの費用
医療機関によっては保険診療で実施しているところもあります。しかし、セカンドオピ二オン提供は30分~1時間程度かかりますので、保険外診療として独自の料金を設定しているところも多いです(多くは2万~3万円程度)。事前に確認しておくのがよいでしょう。
・セカンドオピニオンの注意点
自分の病気に関して正しい情報を得ることは大切です。そして、正しい診断あるいは標準治療を理解して、納得できる医療を受けることが大切です。ところが、自分の気に入った意見をいってくれる医師に出会うまで、何力所もの医療機関を受診する患者さんがいます。
例えば抗がん剤は受けたくないと思っていても、抗がん剤を行ったほうがよりよい経過をもたらす場合、抗がん剤治療の専門家から効果と副作用のバランスについて正確な情報を得ることが大切です。患者のいうなりに治療をしてくれる医師がよい医師ではないのです。
患者さん自身がどのような治療を選択するかの材料として、具体的で客観的な意見を伝えることができる医師が優れた医師だといえます。
以上、セカンドオピニオンについての解説でした