舌がんではセシウム137線源を用いた放射線治療を行う
舌がんは、がん病巣が大きい場合や深く浸潤した進行がんでは、手術が標準的におこなわれます。
舌がんは、扁平上皮がんが多いため、このタイプの場合は放射線治療の適応になります。頸部リンパ節転移がないⅠ期・Ⅱ期の場合に組織内照射がおこなわれ、80パーセント以上の割合で根治的な結果が得られます。
治療の進め方
セシウム137線源を用いた舌がんの組織内照射法をおこなうために、放射線治療医はがん病巣を設定し、最適な放射線治療を計画します。
この計画の良し悪しには、治療技術と同様に医師の臨床経験の豊富さが大きく影響します。
放射線治療医は、まず、麻酔下で舌に「セシウム137線源」を直接刺入していきます。できるだけ放射線被曝をしないように、短時間で舌に刺していきます。
線源は舌から脱落しないように糸で舌と結びつけて固定されます。線源が紛失すれば、放射線被曝や線源管理責任など社会的な問題を引き起こすことになるからです。
線源はがん病巣内の線量分布が均等になるように配置していきます。
線源配置を決定するために位置決め撮影がおこなわれます。線源位置は治療計画装置に入力され、線量分布を作成します。患者は線源刺入後に、放射性同位元素病棟に一時的に隔離されます。
患者は約1週間程度、食事を摂ることはできませんので、点滴注射で栄養を補うことになります。予定の照射時間がくれば、線源は舌から抜去されます。
その後に患者は病棟に移ります。照射後の状態は継続して観察されていきます。