前立腺がんの治療3本柱は「手術」「放射線」「内分泌療法(ホルモン療法)」でこれらが単独、あるいは組み合わせて治療が行われます。その中で、がんの進行度が早期から進行がんまで広く対応できるとして支持を多くしているのが放射線治療です。
その放射線治療のなかでも、前立腺がん特有の方法が「密封小線源療法(ブラキセラピー)です。これは前立腺内に金属製の針を刺し、その針先から小線源入りのカプセルを前立腺の中に永久埋入し、内部から放射線を病巣にあてる治療法です。特徴は治療の際の体への負担が少ないことで、限局性前立腺がんの患者さんに広く普及しています。
この密封小線源療法が適応となるには条件があります。それは悪性度の低い早期限局性前立腺がんで、具体的には以下の3点です。
①PSA(前立腺特異抗原)値が10ng/mg以下
PSA値は低い方が高いよりも治りやすいことが科学的根拠によって示されている。
②ステージ(病期)がB1以下
前立腺内にとどまっている限局がんでも、よりがんの大きさが小さいものである。
③グリーソン・スコア6以下
がんの悪性度を示すグリーソン・スコアは2~10となっており、6以下が低リスクがんである。
以上は患者の前立腺がんの条件だといえます。このほか患者の条件も揃う必要があります。
①前立腺がん以外に重篤な疾患がない
②排尿状態がそれほど悪くない
小線源療法は比較的尿道に放射線があたりやすいので排尿トラブルが起きやすいため。
③前立腺肥大症の治療を受けていない
前立腺肥大症の治療のTURP(経尿道的前立腺切除術)を受けた人は前立腺が空洞になっているので、シード線源がうまく埋入できないため。
④前立腺が大きくない
前立腺の大きさは40ccまで。
⑤放射線を前立腺に照射した経験がない
以上の条件で適応する人は小線源療法を受けられ、なおかつ治療効果は良いと推測できるのです。
もちろん、小線源療法にも副作用はあります。排尿障害(頻尿、尿意切迫、排尿時痛など)、直腸障害(便意頻回、排便時出血など)などです。条件が適応すれば重篤な副作用が起きることは稀ですが、治療を決定する前に、十分に主治医と話し合い、納得して治療を受けることが重要です。
以上、前立腺がんのブラキセラピーについての解説でした。