・一般名:エキセメスタン
・商品名:アロマシン、エキセメスタン
・投与経路:経口
・血管外漏出による皮膚障害のリスク:なし
・催吐リスク:なし
<特徴>
作用機序:乳がん組織や脂肪組織で、アロマターゼ(アンドロゲンからエストロゲンヘの変換に関与)の活性を阻害することでエストロゲン生成を阻害し、乳がんの増殖を抑制する。
※非ステロイド性の選択的アロマターゼ阻害薬。
代謝経路:肝代謝、胆汁・腎排泄
<主に使われるがんの種類>
閉経後乳がん:単剤投与、エキセメスタン+エベロリムス併用療法
・使用時の注意点
投与方法:食後に経口投与する
投与量:1日1回25mg
投与期間:以下を参照(効果が実証されている投与法を示す)
(術後補助療法の場合)
①アロマターゼ阻害薬5年間の内服
②抗エストロゲン薬(タモキシフェン)2~3年内服後、アロマターゼ阻害薬2~3年内服(計5年間)
③抗エストロゲン薬(タモキシフェン)5年内服後、アロマターゼ阻害薬3~5年内服
併用注意:肝代謝酵素CYP3A4およびCYP2A6の活性に影響を及ぼす薬剤(アゾール系抗真菌薬、リファンピシン、タモキシフェン、メトキサレンなど)
慎重投与:重度の肝・腎機能障害
・重大な副作用
肝炎・肝機能障害・黄疸
・その他注意が必要な副作用
ほてり・多汗・悪心・めまい
高血圧
疲労
関節痛
骨粗しょう症
・投与に関するポイント
骨粗しょう症予防のための食事・生活習慣を意識すること。
<エキセメスタンとエベロリムス併用療法について>
エキセメスタンは、非ステロイド性アロマターゼ阻害薬(アナストロゾール、レトロゾール)使用後に再発した内分泌療法抵抗性乳がんに対し、分子標的薬エベロリムス(アフィニトール)との併用で有効性が示されている。
無増悪生存期間は、エキセメスタン単独治療では2.83か月、エキセメスタン+エベロリムス併用療法では6.93か月と、2倍以上に延長される。
主な副作用は口内炎、発疹、下痢、味覚異常、肺炎などだが、なかでも口内炎の頻度が高い。実際に治療された患者のなかには「7日目までは何ともなかったが、その後は1日ごとに身体がだるくなり、□の中も荒れて大変だった」と、アロマターゼ阻害薬単独治療に比べて急に重篤感が増大したケースも。
また、エキセメスタンとエベロリムスの併用療法は高額である(2014年時点で、エベロリムス1日分=10mgの薬価が27095円)。診察後、会計で請求額を見て非常に驚く患者もいるため、高額医療費限度額認定証等の利用に関する情報を得ておくこと。
参考:エキセメスタン25mgは1錠2948円、アナストロゾール1mgは1錠163.6~292.4円(メーカーにより差あり)、レトロゾール2.5mgは1錠6741円(いずれも2014年時点)