造血幹細胞移植には大きく分けて、自分の造血幹細胞を移植する自家造血幹細胞移植と、他人(ドナー)の造血幹細胞を移植する同種造血幹細胞移植があります。
当初より放射線療法あるいは化学療法の効果が見られない例、あるいはいったん完全寛解の状態になった後に再発した例に対しては、ABVD療法以外の化学療法が考慮されます。
しかし、年齢(おおむね65歳以下)、内臓障害がないなどの条件が満たされれば、自家造血幹細胞移植も積極的に選択されます。実際、再発例に対しては、自家造血幹細胞移植のほうが化学療法よりも優れた治療効果を示すとの結果が報告されています。
同種造血幹細胞移植については高い治療効果が期待できる反面、合併症などの危険性が高いことから、まだ広く行われていません。しかし、合併症の予防や管理についても進歩しているため、今後は難治例を中心に同種造血幹細胞移植を行う例が増えてくる可能性があります。
治療終了後のケア
治療によって完全寛解の状態になった場合は、定期的な経過観察になります。通常は血液検査と診察を毎月行い、さらに、3~6ヵ月ごとにCT検査を行って再発の有無について調べます。
完全寛解が維持されていれば、2年目以降のCTの間隔は延ばされることがあります。なお、CTでの評価が難しいときはPET検査を行います。
また、放射線療法や化学療法が終了してから数年目以降に、急性白血病、がん、心臓病、肺障害などの晩期障害が出現することがあるので、注意を要します。
ホジキンリンバ腫の治療成績
ホジキンリンパ腫の治療成績は、治療法の進歩により向上してきました。5年生存率は「早期」では90%を超え、「進行期」でも70%以上となっています。
また、最も進行したⅣ期に限っても、50%を超える10年生存率が示されています。従って、充分な治療効果を期待することのできる病気であるといえます。
ただし、ホジキンリンパ腫の場合は、化学療法や放射線療法が原因となる発がんや心臓病なども、予後のうえで大きな問題となります。実際、これらの晩期障害による死亡者数は、治療終了後15~20年以上経過していても増加する傾向があります。
しかし、ABVD療法が中心になってきたことや広範囲の放射線照射を行うことの減少によって、今後は晩期障害を起こすリスクも低下してくるものと期待されています。
以上、ホジキンリンパ腫の移植治療ついての解説でした。