がんは徐々に患者の体力を低下させるものの、最期の1~2ヵ月までは普通に生活ができて、その後急速に重篤になるケースが多い病気です。
この最期の時期(近年ではターミナル期といいます)をどこで、どのように過ごすかを考えておかなくてはなりません。
最近では次の3つが主な選択肢とされるようになりました。
1.乳がん治療を受けた病院でターミナル期(終末期)の医療を受ける
2.緩和病棟もしくはホスピスで過ごす
3.在宅で過ごす
やはり今もまだ、1のタイプの施設で最期を迎えるケースが多いようです。しかし、最近は治療策が尽きると主治医から暗にホスピスへの転院を勧められるケースが多いです。また、2のホスピスや緩和病棟というと、一般には看取りの施設というイメージが強いので拒否されることも少なくありません。
ホスピスに入院するということがわかると、最後通告を突きつけられたようなショックを覚える人も多いですが本来、ホスピスは緩和ケアを中心にした施設で、患者の心身の苦痛に対応する医療を提供することを目的としたものです。
ホスピスや緩和病棟は数が多くなく、ベッド数も限られています.通常、病室が個室になるため費用が多くかかり、患者や家族の負担も重くなります。
また、原則、ホスピスや緩和専用病棟に転院すると健康保険の制度上、治癒目的の積極的治療は受けられないということも知っておかなければなりません。
最近は、3の在宅でも緩和ケアを受けることができます。終末期の在宅での緩和ケアは疼痛(痛み)の管理が主体になりますが、介護保険を申し込めば介護サービスも負担が少なく受けられます。
在宅療養はうまく在宅医療を利用すると緩和ケアと介護サービスを安価に利用でき、病院に入院するより概して負担が少なくてすむようです。
ただし、家族への負担が大きいのも事実です。病人を最期まで看取るという覚悟はもちろんですし、室内環境や訪問医や看護師など、医療関係者との円滑なコミュニケーションを築く必要性など、実現するための条件はいくつもあります。
よって、これらを整えられる家庭となると、やはり限られてくるのが現状です。
以上、乳がん末期の対応についての解説でした。
がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。
納得できる判断をするためには正しい知識が必要です。