膵臓がんの治療方法は、進行度によって異なります。そのため手術内容や入院期間、差額ベッド代の有無、年齢などによって自己負担額は大きく変わります。次の一覧は、3割負担のおおまかな費用を示しています。
膵臓がん治療にかかる治療費(医療費)
・尾側膵切除術:自己負担額の目安 850,000円
・膵頭十二指腸切除術:自己負担額の目安 1,000,000円
・化学療法ジェムザール:自己負担額の目安 1コース約100,000円
・化学療法TS-1:自己負担額の目安 1コース約100,000円
・化学療法ジェムザール+TS-1:自己負担額の目安 1コース約100,000円
・化学療法ジェムザール+エルロチニブ:自己負担額の目安 1コース約300,000円
これに加え、自己負担分として差額ベッド代、入院時の食事代、雑費などがかかります。
入院時の差額ベッド代(室料差額)が、治療費以外の費用のうち大きなものです。個室管理が必要な状況になるなど、病院の求めで個室に移る場合は全額が自己負担になることはありませんが、本人の希望で個室に入った場合は、全額自己負担、高額療養費の対象からもはずされます。
このほか、通院の交通費、遠方の方が通院治療を受けるために宿泊施設を必要とする場合の費用、紹介状や保険請求のための書類作成費用、諸雑費など、思わぬ費用がかかることがあります。
(治療費自己負担3割)+(入院時食事代)+(差額ベッド代)+(通院時の薬代)+(雑費)
膵臓がんの治療はこのようにとても費用がかかりますが、「高額療養費制度」を利用すれば自己負担額を大幅に減額することができます。
治療費の相談はどこに
がんの治療にかかる費用は決して安いものではありません。
病気のために仕事ができず、治療費の工面に困っているようなときは、ひとりで悩まずに、各病院や自治体の福祉窓口の社会福祉士(ソーシャルワーカー)に相談しましょう。不安を1つでも少なくし、治療に専念することは、がんと闘ううえでプラスになります。
「高額療養費制度」など、患者の負担を軽くする公的な制度はありますが、その仕組みや申請の方法は、ふだんなじみのないものであるだけに、なかなか理解するのが難しいところがあります。そんなとき、これらの制度に詳しいソーシャルワーカーに相談すれぱ、大きな助けになるはずです。
また、自分が入っている生命保険、医療保険、がん保険なども総点検しておきましょう。
これらの保険による医療給付も申請しなければ、受け取ることができません。本来受け取ることができるはずの保険金をもらい損ねてしまうことになります。
まずは保険会社に連絡し、現在の自分の病状に対して保険金が支払われるかどうか、必要な書類は何かなどを問い合わせましょう。通常、給付を受けるには、保険会社の所定の診断書が必要です。診断書の用紙をもらってから、病院の窓口に診断書の作成(医師が記入)を依頼しましょう。
以上、膵臓がんの治療費についての解説でした