腎臓がんの手術には「開腹手術」と「腹腔鏡手術」があります。
腹腔鏡は傷口を小さくできますが、医師の技術が必要です。腹腔鏡手術の専門医認定制度があり、その認定を受けた医師やその指導下での手術が大切です。なお、腎臓がんではまだ保険適用ではありませんが、ロボット補助下の手術も行なわれています
4cm以下の小さながんであれば、腎臓全部を取りだすのではなく、がんのある場所だけを切りとるだけでよい場合もあります。ただ、がんの場所によっては、難しい場合もありますので、すべてに可能というわけではありません。
(1)小さながんの場合(T1a)
腎臓本体は残してがんを切りとる→①開腹手術/②腹腔鏡手術
(2)それ以外は腎臓を摘出(T1b~T2・T3/T4は場合による)
→①開腹手術/②腹腔鏡手術
転移がある場合:手術する/手術しない
→①転移巣の手術、②サイトカイン療法、③薬物療法(分子標的薬)
なお、筋膜の外にがんが広がっているT4の場合も、腎臓の場合は、技術的に可能であれば、摘出手術を行なうことが多いです。摘出自体のダメージが少ないと考えられるため、がんが身体にかける負担を弱める狙いがあります。
ただし、転移がある場合は、個々のケースによってかなり対応が変わるので主治医とよく相談しましょう。
また、転移が認められる進行がんの場合は、これまではインターフェロンやインターロイキン2などを定期的に注射する療法がありましたが、近年は新たに開発された分子標的薬の注射や服用に変わりつつあります。
分子標的薬は、抗がん剤のような劇的な副作用は少ないといわれますが、それでも様々な症状が出るので服薬中は、慎重な経過観察が必要です。
このように腎臓がんは転移さえしていなければ、手術とほぼ決まっているため、早期の場合、治療選択の考え方はシンプルです。
また、抗がん剤が効かないという特徴のため、転移後の選択肢が限られていましたが、ここ数年の分子標的薬の登場があり、まだ十分な成果とは言えない部分も残りますが、これらの薬をいかに使うかが転移後の治療選択のひとつのポイントになりつつあります。
以上、腎臓がんの治療法についての解説でした。