肺がんでよく使われる抗がん剤は、次の通りです。
肺がんによく使われる薬
・抗がん剤
<プラチナ製剤>
シスプラチン(CDDP):製品名ブリプラチン、ランダ、プラトシン
力ルボプラチン(CBDCA):製品名パラプラチン
<植物アルカロイド>
パクリタキセル(TXL):製品名タキソールなど
ドセタキセル(TXT):製品名タキソテール
ビノレルビン(VNR):製品名ナベルビン
イリノテカン(CPT-11):製品名カンプト、トポテシン
エトポシド(VP-16):製品名ベプシド、ラステット
<代謝拮抗薬>
ゲムシタビン(GEM):製品名ジェムザール
ペメトレキセド(PEM):製品名アリムタ
<抗がん性抗生物質>
アムルビシン(AMR):製品名カルセド
・分子標的薬
ゲフィチニブ:製品名イレッサ
エルロチニブ:製品名タルセバ
ベバシズマブ(BEV):製品名アバスチン
クリゾチニブ:製品名ザーコリ
年々増える薬の種類
このなかでも、09年に承認されたペメトレキセド(アリムタ)は広く普及しており、最近は初回治療で使われています。副作用軽減のために、治療開始1週間以上前から葉酸とビタミンB12の投与が必要です。
肺がんの治療薬では、分子標的薬のゲフィチニブの登場は画期的なニュースでした。がん細胞の表面にはEGFRと呼ばれるタンパクがたくさん出現していて、このタンパクからの信号が細胞内に伝わると、がん細胞が増殖します。
ゲフィチニブは、この信号の伝達を止めることで、がん細胞の増殖を抑えたり、がんを小さくしたりすると考えられ、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)と呼ばれます。
ゲフィチニブは以前、東洋人、女性、非喫煙者、腺がんという条件をもつ人が効きやすいといわれていました。当時副作用のことで社会問題になりましたが、その後の原因の分析や研究結果から、実際にゲフィチニブの効果が期待できるのは、EGFRの遺伝子に変異がある人ということが明らかになりました。EGFR陽性は腺がんの半分を占めます。
また、エルロチニブはEGFRの遺伝子変異が陰性の人にも効果を示す可能性があります。
12年3月にはEGFR-TKIとは違う作用の分子標的薬クリゾチニブが承認されました。これはALK阻害薬と呼ばれ、非小細胞がんの中でALK融合遺伝子をもっている人が対象です。対象となるのは肺がん患者さんの約5%に過ぎませんが、がんを縮小させる効果が期待できます。
以上、肺がんの治療薬についての解説でした。