限局性腎臓がんに対する標準的治療
腎臓がんでは外科的切除(手術)が唯一の根治的な治療法だといえます。なお、転移のない限局性腎臓がんにおいては腎臓の部分切除が根治的腎摘出(全摘)と比較し、ほぼ同等の効果があるとされています。
また、腎臓の部分切除の場合、手術後にも腎機能の温存が期待されることより、サイズの小さい限局性腎臓がんにおいては、部分切除が標準術式として提唱されています。
1.部分切除とは?
早期(分類でいうとT1aなどの小さい腫瘍)の腎臓がんに対する標準的術式となってきている。T2の腎臓がんでは腫瘍の部位により、部分切除も選択肢の1つとなります。
2.腎臓の全摘出
限局性腎臓がんにおいて、部分切除の適応とならない場合には、全摘出が行われるのが標準的な治療です。
局所進行性腎臓がんに対する標準的治療
部分切除は対象外となり、おのずと全摘出が標準治療となります。
転移性腎臓がん(転移のある腎臓がん)に対する標準的治療
1.腎臓摘出
腎臓がんでは転移がある場合でも手術が検討されることがあります。手術を先に行ってからインターフェロンα治療を行うと、インターフェロンα単独療法と比較し、生存期間が約6カ月延長するとうデータがあるからです。
2.転移巣切除
手術可能な転移巣に対しても外科的切除が検討されることがあります。
3.放射線照射
脳転移、骨転移の症状緩和目的で行われます。
4.化学療法(分子標的治療薬)
従来の抗がん剤ではなく、がん細胞の特徴に絞って増殖を阻害する「分子標的治療薬」の腎臓がんに対する有効性が示され、化学療法の第1選択薬となっています。スーテントやヴォトリエントなどの薬がよく使われます。
5.化学療法(サイトカイン療法)
分子標的薬の登場により、インターフェロンα、インターロイキン-2などのサイトカイン療法は、一部の腎臓がん(淡明細胞がんで全身状態良好)でのみ推奨されています。分子標的薬であるアバスチン(ベバシズマブ)とインターフェロンαの併用療法は低リスク、および中間リスクの場合に第1選択薬となることがあります。
以上、腎臓がんについての解説でした。