胃がんで内視鏡治療の対象にならなくとも、ステージとして早期がんの人の治療には、「腹腔鏡手術」が適しています。
腹腔鏡手術とは、お腹に2~10mmの小さな穴を4カ所ほどあけ、そこから「腹腔鏡」と呼ばれる小型カメラや器具を入れ、炭酸ガスでお腹を膨らませ、モニターを見ながら病巣とその周囲の胃の切除をする方法です。
胃がんの治療だけではなく、胆のうポリープ、大腸ポリープ、大腸がん、子宮筋腫、卵巣のう腫など、さまざまな病気の手術にこの腹腔鏡が使われています。最初は、良性の病気に使われることの多い手術法でしたが、最近ではがんの治療にもずいぶん使われるようになっています。
一般的な開腹手術と違って小さな穴をあけるだけなので、患者の負担は少なくてすみます。当然、術後の痛みは少ないですし、回復も早く、3~10日で退院できます。
患者にとってはメリットが大きい治療法ですが、いまだに早期がんであっても、お腹を切る普通の開腹手術をしている病院もあります。それどころか、内視鏡治療で十分なものに、開腹手術をするところもあるくらいですから、開腹といわれたら他の病院でもセカンドオピニオンを受け、本当に選択肢がないのかを確認するようにしましょう。
もちろん、開腹手術が必要なこともありますが、お腹に大きくメスを入れられると、手術後も腸の癒着が起こりやすく、後の生活に大きな負担となる場合があるという問題があります。
胃がんで開腹手術が必要なケース
内視鏡治療や腹腔鏡手術という、比較的負担の少ない治療法で済めばよいのですが、胃がんの場合、がんを治すためには、従来どおりの開腹手術を受けなければならないこともあります。開腹手術が必要なのは、進行がんの人です。
それから、早期がんであっても胃の入り口付近(噴門といいます)にぱらぱら型のがんがある場合には、腹腔鏡手術ではなく開腹手術になることがあります。どの部位にがんがあっても粘膜にとどまっている場合は、内視鏡で開腹せずに切除できる可能性があります。
以上、胃がんの手術についての解説でした。