子宮頸がんの検査で細胞診で異常があり、精密検査が必要となった場合、コルポスコープ(子宮膣部拡大鏡)を使って子宮膣部の表面を観察する「コルポスコピー検査(コルポスコピー診)」という検査を行います。
コルポスコープは、局部を6~40倍に拡大して観察することができる拡大鏡です。これによって、肉眼ではわからない異形成や初期のがんを見つけ出し、状態を見きわめます。
最初にコルポスコープで膣壁や子宮膣部の上皮の様子を観察します(単純診)。次に3%の酢酸水溶液を子宮膣部に塗って観察します(加工診)。酢酸水溶液を塗ると、細胞内の成分が反応して上皮の表面が一時的に変化します。
異形成やがんがある部分は表面が白濁し、その色合いや血管の変化、白濁が消えるまでの時間などをみることで、病変の部位・広がり・程度を推定することができます。
組織を採取する組織診
コルポスコピー検査で異常があると考えられる場所がわかったら、コルポスコープを見ながら、いちばん強くがんが疑われる部分を切除鉗子(かんし)という器具を使って1カ所から数カ所採取します。これを「ねらい組織診」といいます。
組織を切りとる際に、多少の痛みを伴うことがあります。検査後に組織を切りとった傷口から出血することもあります。もし、出血が多い場合には、ガーゼなどを膣内に挿入して止血し、翌日再度受診します。
採取した組織は病理医がくわしく検査して組織の異常を病理診断します。「ねらい組織診」で最も強くがんが疑われる部分を採取することは、診断の精度と直結する重要な要素だといえます。
細胞診、コルポスビー検査、組織診を統合して方針を決める
細胞診、コルポスコピー検査、組織診の3つの検査結果が同じ場合は、この段階で経過観察か治療かの方針が決まります。3つの検査結果に違いがある場合は、個々のケースでなぜ相違点が生じたのか検討します.
通常、細胞診の推定診断より組織診の結果のほうが強い病変であった場合は、組織診の結果によって方針を決めます。一方、細胞診の推定診断より組織診の結果のほうが弱い病変であった場合は、慎重な検討が必要です。
このときポイントになるのはコルポスコピー検査の所見です。コルポスコピー検査の推定診断はどうか、病変部がすべて見えるところにあるのか、それとも見えているのは一部分で、もっと強い病変が潜んでいる可能性があるのか、そもそも最強病変をきちんと採取できたかなど、多くの要因を考える必要があります。
そのうえで経過を観察するのか、さらにくわしい検査をするための円錐切除術までするのかを決ることになります。
以上、子宮頸がんの検査についての解説でした。