子宮頸がんが骨盤外に転移しているなど、進行したステージ(ステージ4)では手術や放射線治療は適応外となります。手術や放射線はあくまで局所的な治療法なので、範囲が広くなると対応しきれない、ということです。
ステージ4の場合は主に点滴での化学療法(抗がん剤治療)になります。がんの勢いが止まり病状が好転すれば、子宮頸部に放射線を当ててさらなる縮小をはかることもあります。
子宮頸がんの化学療法(抗がん剤治療)の進め方
ステージ4の子宮頸がんでは、診断時に骨盤の骨転移、胸部大動脈周囲や左右の気管支周囲のリンパ節転移、鎖骨上のリンパ節転移、肺転移、肝臓転移などが認められる状態です。この状態にあるとき、医療行為としては化学療法のみが適応となり、投与計画が立てられます。
一般的な化学療法のプログラムは、扁平上皮がんに対してはイリノテカン(カンプト)60mg/㎡(体表面積)を第1日目と第8日目に投与し、ネダプラチン(アクプラ)80mg/㎡を第1日目に投与する方法です(CPT-NED化学療法)。
腺がんであれば、ドセタキセル(タキソテール)60mg/㎡とカルボプラチン(パラプラチン)175mg/㎡を第1日目に投与します(DC化学療法)。これらの化学療法は、3~4週間ごとに反復して行います。
抗がん剤が効かない場合
子宮頸がんが化学療法で改善しないと、QOL(生活の質)は急速に悪化し、1年生存は難しくなります。この場合はベスト・サポーティブ・ケア(BSC)といわれる対処療法に専念することになります。
便や尿が漏れ出るてしまう場合には、人工肛門をつくり、また尿排泄路を新しくつくります。また、性器出血がひどければ、動脈内に小金属コイルなどで作成した詰め物で、主なる栄養動脈を閉塞させて止血します。
骨転移で痛みが強い場合や骨折の恐れが強い場合は、緩和的照射(1回線量を多く、例えば6グレイにして5回照射、合計30グレイ)で鎮痛を図り、骨折を予防します。子宮頸がんでは脳転移は少ないですが、意識障害を起こしたりしてQOLを悪化させますので、転移が確認されたら定位放射線治療(ガンマナィフ)が行われます。
抗がん剤の効果がみられる場合
効果がみられれば化学療法をいったん休止して、骨盤内の原発がんに対して放射線を当てることが検討されます。
しかしステージ4の子宮頸がんを制御することは、現代医学では困難です。化学療法が一時的に有効であってもじょじょに効果は薄れ、がんの増悪傾向が顕著になります。
以上、子宮頸がんの化学療法についての解説でした。