子宮頸がんは子宮頸部からリンパ流に乗って子宮周辺のリンパ節、内腸骨、外腸骨動静脈のリンパ節、内外腸骨動脈の間の閉鎖リンパ節などを経て、足の付け根や総腸骨動静脈リンパ節に転移していく可能性があります。
つまり、子宮という器官から周囲にあるリンパ管をつうじてがんが広がっていくということです。リンパ節はリンパ管の関所のような部分なのでここにがん細胞が付着し増悪しやすいということです。
これら骨盤付近に存在するリンパ節を切除し、がんを取り除こうとする治療を「骨盤リンパ節郭清」といいます。
通常、この手術は熟練した術者でも片側で1時間、両側で2時間かかります。術後のリンパ浮腫(むくみ)は15~20%に生じます。
ステージがⅠb2期とかⅡa2期であったり、実際に転移リンパ節が認められたりすれば、根治的な意味として骨盤リンパ節郭清の実施は、やむを得ないとされています。
ただし、子宮頸がんのリンパ節転移頻度は、大きさが2cm以下では6%であり、2~4cmで10%、4cmを超えると15~20%です。そのため大きさが2cmより小さい子宮頸がんでは子宮頸部に近いリンパ節だけを郭情する方法(縮小骨盤リンパ節郭清という)が用いられることがあります。(範囲を狭くしてリンパ節の郭清を行う)
この「縮小骨盤リンパ節郭清」は、経験の豊富な医師であれば片側25分、両側50分で可能であり、郭清範囲は通常郭清の2分の1以下なので、リンパ浮腫の程度、頻度が軽微になります。
以上、子宮頸がんのリンパ節郭清についての解説でした。