食道がんは手術などの治療が功を奏して、1度は治ったと思っても再びがんが現れることがあります。治療の際に残存したり、目に見えない小さながんが複数存在したりしたことなどが考えられます。
食道がんが再発すると、治療はかなり難しくなります。再発が見つかったときは、がんが食道以外の臓器や器官に転移していることが多いためです。
そのため再発の治療は、根治を目指すというより、がんがさらに広がるのを防ぐことや、がんによって起こる生活上の支障を、できるだけ少なくすることなどが治療の目的になります。治療法の選択は、患者さんの状況に応じてさまざまです。
食道がん再発の確率(再発率)
最初の治療で根治を目指した手術を受けた場合、食道がんの再発率は28~47%(すべての病期における)です。他のがんと比べてのかなり高いのが現状。起きやすいのは次にあげる「再発」ですが複数の再発が同時に起きることもあります。
・残った食道、リンパ節への再発(再発率22~68%)
リンパ節に再発する場合は、頸部周囲や胸腔の上部、腹部などによくみられます。また、切除せず残した食道に再発がみられることもあります。
・肺、肝臓、骨などへの遠隔臓器再発(再発率12~51%)
食道から遠い部位の臓器に転移する場合よくみられるのが、多い順に肺、肝臓、骨、脳への転移です。小腸や結腸など腸部分へのの転移は少ないです。
・上記の再発が複合しておきる再発(再発率7~27%)
リンパ節または残った食道と、遠い臓器への転移がいくつか同時に起こっているケースも珍しくありません。
食道がん再発時の治療法
再発した場合はそれぞれのケースによって異なりますが、主に次のような治療法が用いられます。
・リンパ節、食道への再発の場合「手術または化学療法、放射線治療」
頸部のリンパ節に転移があるときは、手術が適応されることがあります。その他の単独で起こるリンパ節転移も、手術が適応されることがあります。転移が複数ある場合は、手術での切除が困難なため、抗がん剤による治療か、放射線治療が選択されます。
・遠隔臓器再発の場合「化学療法。まれに手術」
遠隔転移している場合は、全身に転移が広がっている可能性もあるため、抗がん剤によって全身のがんを抑えることが中心となります。肺へ単独で転移した場合は、手術療法がおこなわれることがありますが、多くは複数転移や多発転移のため、手術対象にはなりません。
以上、食道がんに関する解説でした。