
こんにちは。がん専門のアドバイザー、本村ユウジです。
がんという診断を受けると、治療の開始とともに体には様々な変化が訪れます。特に抗がん剤治療では、脱毛や肌の変化、体型の変化など、外見に影響することが少なくありません。
手術の後には、これまで当たり前だった日常の動作が難しくなったり、心身の不調を感じたりすることもあります。
「今まで使っていたものが使えなくなった」
「治療中でも、自分らしく過ごしたい」
「少しでも快適に毎日を送るには何が必要なのだろう」
このような思いを抱える患者さんは少なくありません。近年では、がん患者さんの声に耳を傾け、治療中のデリケートな身体に配慮した様々なサポートグッズが開発され、広く利用できるようになってきました。
この記事では、がん治療、特に抗がん剤治療を経験された多くの患者さんの声や、2025年の最新情報をもとに、「本当に買ってよかった」「これがあったから治療を乗り越えられた」というウィッグ、下着、その他の生活サポートグッズを厳選して10種類ご紹介します。
1. 自分らしさを守る医療用ウィッグ
抗がん剤治療による脱毛は、多くの患者さんにとって大きな心理的負担となります。医療用ウィッグは、外見の悩みを軽減し、自分らしい姿を取り戻すための強い味方です。
医療用ウィッグの選び方
ウィッグには人毛、人工毛、ミックス毛の3種類があります。人毛は自然なツヤと手触りが魅力で、カラーリングやパーマも可能ですが、手入れに手間がかかり価格も高めです。人工毛は手入れが簡単でスタイルが崩れにくく、比較的安価ですが、熱に弱いものもあります。ミックス毛は両方の長所を組み合わせたもので、バランスが良いとされています。
サイズは頭の形にフィットするものが重要です。試着をして、締め付け感やズレがないか確認しましょう。スタイルは、治療前から使っていた髪型に近いものを選ぶと日常生活での違和感が少なくなります。あるいは、気分転換として新しいスタイルに挑戦される方もいらっしゃいます。
長時間着用するため、蒸れにくい通気性の良いネット素材を選ぶと快適です。医療用ウィッグは通常のファッションウィッグと異なり、敏感な頭皮に優しい素材や、ずり落ちにくい構造、通気性などに特化して作られています。
医療用ウィッグの助成金制度
2025年時点で、全国約400以上の自治体が医療用ウィッグの購入費用を助成する制度を設けています。助成金額は自治体によって異なり、上限1万円から10万円まで幅があります。多くの自治体では上限2万円から3万円程度の助成を行っています。
| 助成金額の例 | 自治体 |
|---|---|
| 上限1万円 | 横浜市など |
| 上限2万円 | 多くの市区町村 |
| 上限3万円 | 足立区など(費用の1/2) |
| 上限10万円 | 千代田区など |
助成を受けるには、抗がん剤治療を受けていることを証明する書類、領収書、申請書などが必要です。購入前に自治体への相談が必要な場合もありますので、必ずお住まいの自治体の窓口やホームページで確認してください。申請期限は購入日から1年以内としている自治体が多いです。
患者さんの声
「脱毛が始まった時は本当にショックでしたが、医療用ウィッグのおかげで治療中も安心して外出できました。美容師さんが自毛のように自然にカットしてくれたので、周りにも気づかれず、自信を持って過ごせました」(40代女性・乳がん)
購入時のアドバイス
専門のサロンや美容室で試着や相談をすることをおすすめします。複数のメーカーを比較検討し、予算に合ったものを選びましょう。お住まいの自治体に助成金制度があるか確認することも大切です。
2. デリケートな肌を守るインナー・下着
抗がん剤治療中は肌が乾燥しやすくなったり、敏感になったりすることがあります。また、手術によっては特定の部位への刺激を避けたい場合もあります。肌に優しい素材や縫い目のないデザインのインナーや下着は、日常の快適さを大きく左右します。
選び方のポイント
素材は綿100%やシルク、オーガニックコットンなど、天然素材で肌触りの良いものを選びましょう。吸湿性・放湿性に優れているものがおすすめです。肌への摩擦を避けるため、縫い目が外側になっているものや、フラットな縫い目のもの、あるいはシームレス(無縫製)タイプが理想的です。
締め付けが強いものは血行を妨げ、肌に負担をかけることがあります。ゆったりとした、締め付けのないデザインを選びましょう。装飾が少ないシンプルなものが、肌への刺激を最小限に抑えます。
患者さんの声
「抗がん剤治療中、今まで平気だった化繊の下着がチクチクして耐えられなくなりました。綿100%の縫い目のないインナーに変えたら、驚くほど快適で、肌トラブルも減りました。小さなことですが、毎日のストレスが減って本当に助かりました」(50代女性・卵巣がん)
「自分の判断は正しいのか?」と不安な方へ
がん治療。
何を信じれば?
不安と恐怖で苦しい。
がん治療を左右するのは
治療法より“たった1つの条件”です。
まず、それを知ってください。
がん専門アドバイザー 本村ユウジ
3. 乳がん術後をサポートする専用下着・補正具
乳がんの手術を受けた方にとって、術後のケアは大切です。専用下着(術後ブラジャー)やパッド(人工乳房)は、失われた部分を自然にカバーし、バランスを取ることで、身体的・精神的な負担を軽減してくれます。
術後ブラジャーの選び方
手術後のデリケートな胸元を優しく包み込む、肌当たりの良い素材を選びましょう。術後間もない時期は腕が上がりにくいため、前開きタイプだと着脱が簡単で便利です。人工乳房やパッドを固定するためのポケットが付いているか確認しましょう。肩への負担を軽減するため、幅が広く、クッション性のあるストラップがおすすめです。
パッド(人工乳房)の選び方
パッドにはシリコン製やウレタン製があります。シリコン製は重さや質感が本物に近く、ウレタン製は軽量で通気性に優れています。残存する胸の形や大きさに合わせて、自然に見えるものを選びましょう。専門のフィッターに相談するのが確実です。
左右のバランスが悪いと、肩こりや姿勢の歪みの原因になることがあります。適切な重さのものを選ぶことが重要です。
患者さんの声
「全摘手術後、鏡を見るのが辛い時期もありましたが、専用のブラジャーとパッドを使うことで、服を着た時に自然なシルエットになり、自信を取り戻すことができました。特に、水着用のパッドは温泉旅行に行く勇気をくれました」(60代女性・乳がん)
購入時のアドバイス
乳がん患者専門の下着メーカーや、デパートの専用コーナーで、専門のフィッターに相談することをおすすめします。退院後、体の状態が落ち着いてから改めてフィッティングに行くのが良いでしょう。医療機関で提携している店舗を紹介してもらえる場合もあります。
4. リンパ浮腫ケアを支える弾性着衣
乳がんや婦人科がんの手術でリンパ節郭清を行った場合、リンパ浮腫を発症することがあります。リンパ浮腫のケアには、弾性着衣(弾性ストッキングや弾性スリーブ)が有効です。
選び方のポイント
医師やリンパ浮腫専門の理学療法士と相談し、適切な圧迫度のものを選びましょう。圧迫が強すぎると血行不良の原因になり、弱すぎると効果が薄れます。正確に採寸し、体の部位にしっかりフィットするものを選びましょう。オーダーメイドで作ることも可能です。
長時間着用するため、肌触りが良く、蒸れにくい素材を選びましょう。毎日着用するものなので、自分で着脱しやすい工夫がされているものが望ましいです。
医療費控除と療養費払い戻し
弾性着衣の購入費は医療費控除の対象になる場合があります。また、医師の指示による弾性着衣の購入には、健康保険から療養費の払い戻しを受けられる制度があります。加入している健康保険組合や自治体に確認しましょう。
患者さんの声
「リンパ浮腫と診断された時は不安でしたが、弾性スリーブを着けることで浮腫の進行を抑えられ、痛みも軽減されました。最初は着けるのが大変でしたが、慣れると手放せなくなりました。医療費控除の対象になる場合もあるので、確認した方がいいですよ」(50代女性・乳がん)
5. 足元から快適にするゆったり靴下・ルームシューズ
抗がん剤治療中は、手足のしびれ(末梢神経障害)や浮腫みが起こりやすくなることがあります。また、足の裏の皮がむけたり、皮膚が敏感になったりすることもあります。締め付けのないゆったりとした靴下や、クッション性の高いルームシューズは、足元の不快感を和らげてくれます。
選び方のポイント
肌に優しい綿やシルク、ウールなどの天然素材がおすすめです。吸湿性・放湿性に優れ、蒸れにくいものが良いでしょう。口ゴム部分がゆったりとしたもの、あるいは全く締め付けのないデザインを選びましょう。足首やふくらはぎに跡がつかないものが理想的です。
ルームシューズは、足裏への衝撃を吸収するクッション性の高いものを選ぶと、足への負担が軽減されます。屋内で転倒しないよう、ルームシューズの底に滑り止めが付いていると安心です。
末梢神経障害対策の最新情報
2025年時点では、パクリタキセルなどの抗がん剤投与時に手足を冷却することで、末梢神経障害(しびれ)を予防できることが研究で確認されています。多くの医療施設では冷却用グローブとソックスを用意しており、患者さんのQOL向上に役立っています。
患者さんの声
「抗がん剤で足裏がヒリヒリするようになり、普通の靴下が痛くて履けなくなりました。締め付けないゆるゆるソックスに変えたら、足の痛みが格段に楽になり、夜もぐっすり眠れるようになりました」(40代男性・大腸がん)
6. 吐き気・食欲不振を和らげる栄養補助食品
抗がん剤治療の副作用として、吐き気や食欲不振に悩まされる患者さんは少なくありません。そんな時でも、少量なら口にできる、あるいは気持ち悪さを和らげてくれるような食品は、日々の栄養補給を助けてくれます。
おすすめの食品
| 食品の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 消化に良い薄味の食事 | お粥、うどん、蒸し鶏、豆腐、白身魚など胃腸に負担をかけにくい |
| ゼリー飲料やプリン | のどごしが良く、手軽にカロリーや水分が補給できる |
| スポーツドリンクや経口補水液 | 脱水予防に。常温の方が飲みやすい場合もある |
| 梅干しや柑橘系の飴 | 吐き気がある時に口にすることで気分が紛れることがある |
| 栄養補助食品 | 医師や管理栄養士と相談の上、高カロリー・高たんぱく質の栄養補助食品を利用 |
2025年の患者さんのアンケートでは、アイス(特にガリガリ君やシャーベット)、冷凍食品、カット野菜など、抗がん剤のサイクルに合わせて買い込んでストックしておく工夫をされている方も多いことがわかっています。
患者さんの声
「抗がん剤の副作用で食欲が全くない時でも、ひんやり冷たいゼリー飲料だけは飲めました。脱水も防げるし、手軽に栄養補給できるので、本当に助かりました」(30代女性・子宮頸がん)
7. 口腔ケア用品で口内炎・口渇対策
抗がん剤治療や放射線治療の副作用で、口内炎や口の乾燥(口渇)が起こることがあります。口腔ケアは、これらの不快感を軽減し、感染症予防にもつながる重要なケアです。
おすすめの口腔ケア用品
毛先が柔らかく、ヘッドが小さい歯ブラシを選びましょう。知覚過敏用の歯ブラシや介護用の口腔ケアブラシが適しています。ノンアルコール・低刺激の洗口液で口腔内を清潔に保ちつつ、刺激を与えないようにしましょう。
保湿ジェル・スプレーは口腔内の乾燥を防ぎ、粘膜を保護します。唇の乾燥やひび割れには、ワセリンやリップクリームでこまめに保湿しましょう。キシリトールガム・タブレットは唾液の分泌を促し、口の乾燥対策になります。
患者さんの声
「治療が始まってすぐに口内炎ができてしまい、食事をするのも辛かったのですが、柔らかい歯ブラシと保湿ジェルを使うようになってから、ずいぶん楽になりました。食後すぐにケアすることで、口内炎の悪化も防げている気がします」(50代男性・食道がん)
8. 便秘・下痢への対策
抗がん剤治療の副作用として、便秘や下痢に悩まされる方も少なくありません。これらの症状は、日常生活の質を大きく低下させます。
便秘対策
こまめな水分補給が基本です。食物繊維を多く含む食品(野菜、果物、きのこ類など)を積極的に摂りましょう。ヨーグルトや納豆など、腸内環境を整える食品を取り入れましょう。医師の処方による便秘薬や、市販の穏やかな作用の便秘薬(酸化マグネシウムなど)を医師に相談の上、利用してください。朝起きてすぐに白湯などを飲むのも効果的です。
下痢対策
刺激の少ない、消化の良いものを摂りましょう。脱水予防のため、経口補水液やスポーツドリンクをこまめに摂りましょう。医師の処方による下痢止め薬を適切に利用してください。水溶性食物繊維(りんご、バナナなど)は、腸の動きを穏やかにし、下痢を和らげる効果が期待できます。
下痢などでトイレに行く回数が増える場合、温座便座や携帯ウォシュレットがあると便利です。
患者さんの声
「抗がん剤でひどい便秘と下痢を繰り返していました。担当医に相談して処方してもらった下剤と、毎日欠かさずヨーグルトを食べるようにしたら、少しずつお通じが安定してきました。水分をたくさん摂ることも意識しています」(60代女性・直腸がん)
9. 快適な睡眠をサポートする寝具・安眠グッズ
治療中の身体は疲れやすく、十分な睡眠を取ることが回復には不可欠です。しかし、痛みや不快感、精神的な不安から、眠りが浅くなったり、なかなか寝付けなかったりすることもあります。快適な睡眠をサポートする寝具や安眠グッズは、質の良い休息へと導いてくれます。
おすすめの安眠グッズ
敏感になった肌に刺激を与えない、綿100%やシルク素材のシーツやパジャマを選びましょう。体圧分散枕・マットレスは首や腰への負担を軽減し、楽な姿勢で眠れるようにサポートします。抱き枕は横向きで寝る際に体を安定させたり、抱きつくことで安心感を得たりできます。
ラベンダーなど、リラックス効果のあるアロマオイルを焚くことで、入眠を促します。光や音を遮断し、睡眠に集中できる環境を作るために、アイマスク・耳栓も有効です。口腔内や喉の乾燥を防ぎ、快適な湿度を保つために、加湿器も役立ちます。
患者さんの声
「体がだるくて、夜もなかなか眠れませんでしたが、肌触りの良いパジャマと、体圧分散の枕に変えてみたら、寝返りも楽になり、以前よりぐっすり眠れるようになりました。ぐっすり眠れると、次の日の体調も全然違いますね」(50代女性・肺がん)
10. 心身のリラックスを促すアロマ・癒しグッズ
治療中は身体的な苦痛だけでなく、精神的なストレスも大きくなりがちです。そんな時、心身のリラックスを促すアロマグッズや癒しアイテムは、気持ちを穏やかにし、不安を和らげる効果が期待できます。
おすすめの癒しグッズ
好きな香りに包まれることで、リラックス効果が高まります。柑橘系は気分をリフレッシュさせ、ラベンダーは安眠を促します。カフェインを含まないカモミールやレモンバームなど、心身を落ち着かせる効果のあるハーブティーも良いでしょう。
穏やかな音楽や、波の音、鳥の声などの自然音は、心を落ち着かせ、不安感を軽減します。ホットミルクや温かいココアなど、就寝前に体を温め、リラックスさせる効果があります。自宅で過ごす際は、締め付けのない、ゆったりとしたリラックスウェアで過ごすのも良いでしょう。
読書や塗り絵など、集中できる趣味の道具も、気分転換になり、治療中のことを忘れられる時間を持つことができます。
患者さんの声
「治療で疲れて気分が落ち込む日も多かったのですが、アロマディフューザーで好きな香りを焚いたり、ゆったりとハーブティーを飲んだりする時間を意識して作るようになりました。少しずつですが、気持ちが前向きになれた気がします」(40代女性・胃がん)
治療生活を支えるその他の便利グッズ
2025年の患者さんアンケートから、日常生活で役立つ便利グッズがいくつか明らかになっています。
日常生活のサポートグッズ
| グッズ | 用途 |
|---|---|
| ストロー付きペットボトルキャップ | 体調が悪い時でも飲みやすい |
| ボトルオープナー | 指先に力が入らない時に便利 |
| 取手付き食器 | 手のしびれがある時に使いやすい |
| 水に流せるティッシュ | 吐き気がある時にトイレに流せる |
| コロコロ(粘着カーペットクリーナー) | 脱毛した髪の毛の掃除に |
| 使い捨てカイロ | 点滴前に血管を探しやすくする |
| エチケット袋 | 吐き気がある時の備え |
| ドライシャンプー、ボディーシート | 入浴できない時のケア |
記録管理ツール
副作用を時系列で記録するノート、手帳、記録アプリなどは、医師や医療者に正確に状況を説明するのに役立ちます。2025年ではスマートウォッチやアップルウォッチを使い、服薬、水分量、歩数、睡眠時間などを管理している患者さんも増えています。
グッズ選びで大切なこと
がん治療と向き合う日々は、心身ともに大変なことが多いです。しかし、デリケートな身体に配慮し、日々の生活を快適にするための工夫はたくさんあります。
大切なのは、自分の体調やニーズに合わせて、本当に必要なものを選ぶことです。気になるグッズがあれば、まずは少量から試してみたり、サンプルを利用してみたりするのも良いでしょう。
これらのサポートグッズは、単なる「物」ではなく、患者さんの生活の質を高め、自分らしく生きることを応援してくれる大切なパートナーです。治療を受けながらも、できる限り快適で穏やかな毎日を送れるよう、自分に合ったグッズを見つけていただければと思います。
参考文献・出典情報
GSclub - 入院中・自宅療養中に役立ったモノアンケート
KISS MY LIFE - がん患者さんへのお見舞いの選び方