歴史の重みが支える祈りの場
京都・岡崎に鎮座する平安神宮は、1895年に平安遷都1100年を記念して建立され、
明治時代の代表的神社として知られています。
その壮麗な大鳥居や復元された大極殿を通して感じる歴史の重みは、祈りの力に厚みを与えます。
がん患者さんやそのご家族が訪れる際、この文化的な背景と格式のある場が「心を委ねる価値」を与えていると思います。
「健康・病気平癒守」でがん治療中の不安を支える
平安神宮の授与所には、「健康・病気平癒」に特化した御守りが複数並んでいます。
中でも目を引くのが「長寿橘守」。この御守りは鮮やかな黄色い橘がモチーフで、
不老長寿のシンボルとされ、健康願いに適したデザインです。
橘守と並んで、カードケースに入る薄型の「身守」もあり、通院や入院中に携帯しやすい配慮がされています。
「身体健康・病気平癒」という用途の御守りもあり、
色違いや形違いで好みのものを選べるのも魅力です。
がんという重い病と向き合う際、このような複数の選択肢が心の支えになります。
当日受付の祈祷「当病平癒」でがん回復を願う
平安神宮では、「当病平癒」「病気平癒」「身体健全」といった願いに沿った祈祷を、当日受付で行っています。
受付は午前9時〜午後4時、大極殿にて約20分の儀式が執り行われます。事前予約は不要です。
御祈祷では、神職による祝詞の奏上とともに、
参拝者の願い(「がんが治りますように」「再発しませんように」など)を届けます。
儀式後には御神符(お札)や御守りが授与されます。
絵馬・絵馬掛所
神苑北側に設置された絵馬掛所には、
“がん平癒”や“健康回復”と書かれた絵馬が多く見られます。
願いは「胃がんが治りますように」「手術無事終了しますように」など具体的です。
この「見える祈り」の場では、自身だけでなく、多くのがん患者さんやご家族と願いを共有している実感が生まれ、
連帯感と安心感につながるのだと思います。
郵送対応で参拝困難な方にも祈りを届ける
平安神宮では、遠方や体調不良などで訪問が難しい方のために、授与品の郵送対応を実施しています。
御守りの授与に併せて祈祷も行われるため、参拝できなくても「神のご加護」を受けられる安心があります。
がん患者さんにとって、通院や入退院のスケジュールの中で、この郵送対応はとても心強いサービスです。
がん患者さんから届く祈りの言葉
参拝者からは「手術前に心が乱れていたが、御守りを持つと気持ちが落ち着いた」
「祈祷のおかげで検査結果を待つ間も安心感があった」
「寛解後にお礼参りに行き、深い感謝の想いを伝えられた」との声があります。
これらは祈祷や御守り、絵馬といった行為が心の癒しに機能している証です。
回復後の感謝としての「お礼参り」
がんが寛解した方や治療が終わった方が改めて平安神宮を訪れ、「お礼参り」をすることがあります。
お礼参りでは、使った御守りや御神符を返納し、新たな御守りを授かることで、区切りと祝福を自身に与えます。
この行為は心理的な節目となり、
患者さん自身や家族が前向きに新たな生活へ踏み出す象徴としての意味を持ちます。
アクセスと参拝環境の配慮
平安神宮は、地下鉄東西線「東山駅」または京阪「神宮丸太町駅」から徒歩10分ほど。
岡崎エリアには無料・有料駐車場もあります。
境内は平坦で、車椅子や杖を使う方のための配慮もされており、
誰でも無理なく参拝できる点はがん患者さんにとって非常に重要です。
社務所は8時30分ごろ開門し、祈祷受付や御守り授与も可能です。
医学と祈りを両立する意味
がん治療は身体だけでなくメンタルにも重くのしかかります。
不安や孤独を抱えながらも、治療を継続する力が必要です。
平安神宮の祈祷や御守りは、信仰によって「心を整える時間」と「日々の安心感」を提供します。
これは医学とは異なるアプローチですが、並走することで治療への意欲や耐えうる力を育む支えになります。