【レジメン】
VNR(ビノレルビン:ナベルビン)=25mg/m2:緩徐に静注(1~5分)
基本事項
【適応】
手術不能または再発乳がん
【奏効率】
・奏効率
20.0%
・治療効果持続期間(中央値)
115日
【副作用】
・白血球減少:All Grade=92%、Grade3~4=62%
・好中球減少:All Grade=94%、Grade3~4=74%
・血小板減少:All Grade=14%、Grade3~4=2%
・悪心:All Grade=64%、Grade3~4=2%
・嘔吐:All Grade=40%、Grade3~4=2%
・発熱性好中球減少症:All Grade=12%、Grade3~4=12%
・静脈炎:All Grade=60%
・疲労:All Grade=72%、Grade3~4=4%
・神経障害、知覚性:All Grade=30%、Grade3~4=0%
・筋肉痛:All Grade=26%、Grade3~4=2%
レジメンチェックポイント
①投与後のフラッシュ
静脈炎や血管外漏出の予防のために、VNR投与終了直後に生理食塩液50~200mL程度で血管内の薬剤を洗い流す
②投与経路
静脈内注射のみに使用し、髄腔内には投与しないこと
③投与量の確認
1コース目(Day1、8)の投与において、好中球減少を疑う所見があらわれた場合には、次コース(Day22、29)にはVNRの投与量を20mg/m2に減量し、G-CSF製剤の投与を考慮する。投与前の白血球数が2,000/mm3未満であった場合には投与を延期し、2,000/mm3以上に回復するのを待って投与する
<好中球低下症例に対する減量の目安>
・投与日の好中球数≧1,500/mm3:投与割合100%
・投与日の好中球数≧1,000~1,499/mm3:投与割合50%
・投与日の好中球数<1,000/mm3:投与延期、1週間後に再検査
好中球数が1,500/mm3未満のときに発熱and/or敗血症が発症した場合、もしくは、好中球減少のために2週間の投与延期となった場合
・投与日の好中球数>1,500/mm3:投与割合75%
・投与日の好中球数≧1,000~1,499/mm3:投与割合37.5%
・投与日の好中球数<1,000/mm3:投与延期、1週間後に再検査
<肝機能低下症例に対する減量の目安>
・T-Bil 2.1~3.Omg/dL:50%減量
・T-Bil >3.0mg/dL:75%減量
④点滴速度の確認
a.ボーラス投与(約1分間)
VNRを約20mLの生理食塩液などで希釈し、通常の点滴セットの側管または三方活栓を用いて、約1分かけて注入する
b.点滴静注(約5分間)
VNRを約50mLの生理食塩液などで希釈し、通常の点滴セットを用いて、全開で滴下する(約5分間)
ボーラス投与(1分間)と点滴静注(6分間)における静脈炎および腰背痛の発現頻度を比較検討した報告では、静脈炎の発現頻度は短時間での投与の方が低くなる傾向(有意差なし)があり、腰背痛の発現頻度はほとんど変わらなかった
⑤相互作用
アゾール系抗真菌薬、マクロライド系抗菌薬、力ルシウム拮抗薬、ベンゾジアゼピン系薬剤など、CYP3A4阻害薬の併用により代謝が阻害され、副作用が強くあらわれることがある。また、CYP3A4誘導薬およびCYP3A4を基質とする薬剤との併用は、VNRおよび併用薬の体内動態に対して影響を及ぼす可能性がある
副作用対策と服薬指導のポイント
①血管外漏出
血管外漏出時は冷却は避け、保温が望ましい
②発熱性好中球減少症も比較的高頻度に発生するため、感染予防などに関する生活指導が重要。抗菌薬を予防的に処方する場合は、使用のタイミング、使用方法を伝える