副腎は、腎臓の上側に位置する小さな臓器で、左右に1対あります。
表面部の皮質と内部の髄質に分かれ、それぞれ独立した機能をもっています。
副腎腫瘍はホルモンを過剰に産生する機能性腫瘍と、産生しない非機能性腫瘍に大別されます。
いずれの場合も大部分はクッシング症候群や原発性アルドステロン症、褐色細胞腫などの良性腫瘍で、転移性のものを除けば悪性腫瘍はまれです。
原発性副腎がんは、髄質にできる副腎髄質がんと、皮質にできる副腎皮質がんに分けられます。
前者は褐色細胞腫が悪性化したもので、褐色細胞腫全体の約1O%といわれています。
後者の発生頻度はきわめてまれで、内分泌異常をともなう機能性腫瘍と、内分泌異常をともなわない非機能性腫瘍があります。
副腎がんの予後は、あまりよくありません。
副腎がんの初期症状や自覚症状
副腎がんの大半はホルモンの分泌異常を伴わない腫瘍で、まれにホルモン産生腫瘍があります。
症状として高血圧、頭痛・めまい・動惇・発汗、筋力低下、四肢の麻療、ムーンフェイス(顔が丸くなる)、月経異常、多毛、皮下出血などがあります。
カテコールアミンが過剰になる悪性褐色細胞腫では、高血圧や頭痛、動悸などがあらわれます。
機能性の副腎皮質がんで、コルチゾールが過剰になるタイプでは顔が満月のように丸くなる満月様顔貌や中枢性肥満などが、アルドステロンが過剰になる場合には高血圧がみられます。
非機能性の場合は自覚症状があらわれにくく、検診などで偶然発見されることが少なくありません。
副腎がんの検査と診断
腫瘍の存在を確認するためには、X線CT、MRI、超音波検査などを行ないます。
また、ホルモンの分泌異常を調べるためには、血液検査が必要です。ただし、良性・悪性の判断はこれらの検査だけでは困難で、手術で腫瘍を切除しなければ判定できません。
副腎がんの治療と手術
機能性腫瘍の場合は、良性・悪性ともに手術による切除が基本です。
良性であっても、腫瘍による内分泌異常を治すためには切除が必要なためです。
良性で腫瘍がさほど大きくない場合には腹腔鏡手術が可能ですが、悪性が疑われる場合や良性でも腫瘍が大きい場合には、開胸開腹手術が必要になります。
非機能性腫瘍の場合は、腫瘍径が6cm以上の場合や、4~6cmで形がいびつな場合は、悪性の可能性があるため手術がすすめられます。
それ以外の場合は、経過観察が原則です。