現時点(2019年現在)において現役の医師のなかで、胃がん内視鏡治療(主にEMR・ESD)の名医といわれている医師と病院名を挙げています。
EMRとは「内視鏡的粘膜切除術」、ESDとは「内視鏡的粘膜下層剥離術」のことです。
基準は、ガイドラインの作成などその分野で中心的な役割を任され、医療現場において豊富な実績があることや、メディアなどで取り上げられていること、などです。
治療実績は2016年度の数字を調査しています。
宮城県:内視鏡治療(EMR・ESD)の名医といわれる医師
医師:長南明道
病院:仙台厚生病院消化器内科
所在地:宮城県仙台市
【専門と評価】
・内視鏡治療
胃・食道などの内視鏡検査・治療に精通し、東北でも有数の治療件数がある。仙台厚生病院の診療管理者。
【病院全体の治療実績】
内視鏡治療:273件
胃切除術:112件
胃全摘術:30件
東京都:内視鏡治療(EMR・ESD)の名医といわれる医師
医師:井上晴洋
病院名:昭和大学江東豊洲病院消化器センター
所在地:東京都江東区
【専門と評価】
・内視鏡検査・治療
食道アカラシアヘの「経口内視鏡的筋層切開術(POEM)」や逆流性食道に対する内視鏡治療(ARMS)といった新たな術式を開発し、国内外で高く評価されている。
【病院全体の治療実績】
内視鏡治療:61件
胃切除術:41件
胃全摘術:29件
医師:大圃研
病院名:NTT東日本関東病院内視鏡部
所在地:東京都品川区
【専門と評価】
・ESD
若くしてESDに取り組み、食道・胃・十二指腸大腸まで全臓器のESDを手がける。年間900件を超える国内随一の症例数を誇り、国内外で後進の指導に注力している。テレビなどメディアにも多数登場。
【病院全体の治療実績】
内視鏡治療:239件
胃切除術:69件
胃全摘術:22件
医師:小田一郎
病院:国立がん研究センター中央病院内視鏡科
所在地:東京都中央区
【専門と評価】
・ESD
内視鏡を用いた診断、治療に精通し、特に胃がんに対するESDの豊富な実績を誇る。
【病院全体の治療実績】
内視鏡治療:383件
胃切除術:214件
胃全摘術:78件
医師:後藤田卓志
病院:日本大学病院消化器内科
所在地:東京都千代田区
【専門と評価】
・ESD
ESDに早期から取り組み、胃がんの内視鏡治療数は通算3500件以上になる。膨大な件数をもとに発表した論文が世界中で引用されている。
【病院全体の治療実績】
内視鏡治療:87件
胃切除術:26件
胃全摘術:10件
医師:藤崎順子
病院:がん研有明病院消化器内科
所在地:東京都江東区
【専門と評価】
・ESD
年間500件以上の早期胃がんのESDを実施している、内視鏡治療のスペシャリスト。
【病院全体の治療実績】
内視鏡治療:428件
胃切除術:389件
胃全摘術:93件
医師:布袋屋修
病院:虎の門病院消化器内科(胃腸)
所在地:東京都港区
【専門と評価】
・ESD
食道・胃・十二指腸・大腸すべての消化管がんに対するESDを行う。年間でおよそ2万5000件の内視鏡検査と600件以上のESDを行う虎の門病院内視鏡部にて部長。
【病院全体の治療実績】
内視鏡治療:222件
胃切除術:87件
胃全摘術:19件
医師:矢作直久
病院:慶應義塾大学病院腫瘍センター
所在地:東京都新宿区
【専門と評価】
・内視鏡治療、ESD
フレックスナイフやデュアルナイフなどの電気メスや、バイポーラ止血鉗子などを開発したESDの先駆者のひとり。国際的なESDの普及に注力している。また、他院では治療が困難な十二指腸腫瘍も積極的に治療している。
【病院全体の治療実績】
内視鏡治療:114件
胃切除術:92件
胃全摘術:17件
静岡県:内視鏡治療(EMR・ESD)の名医といわれる医師
医師:小野裕之
病院:県立静岡がんセンター内視鏡科
所在地:静岡県長泉町
【専門と評価】
・ESD
|Tナイフの開発・臨床応用に携わってきたESDの先駆者の1人で胃がんや食道がんへのESDで3000件を超える実績があり、国内外へのESD普及に大きく貢献。
【病院全体の治療実績】
内視鏡治療:459件
胃切除術:187件
胃全摘術:63件
大阪府:内視鏡治療(EMR・ESD)の名医といわれる医師
医師:上堂文也
病院名:大阪国際がんセンター消化管内科
所在地:大阪府大阪市
【専門と評価】
・ESD
年間500件以上(うち胃がん300件以上)と、国内屈指のESD実施件数を誇る。また画像強調観察法、拡大内視鏡など、診断法の開発にも積極的に携わっている。
【病院全体の治療実績】
内視鏡治療:344件
胃切除術:149件
胃全摘術:56件
胃がんと内視鏡検査、内視鏡治療について
内視鏡検査は、診断目的のほか、見つかったがんの進行度を調べるためにも用いられます。その際は、CT検査との併用によって、より精密な検査が行われます。
早期に発見できれば、内視鏡を使って病変を切除するESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)で、胃を温存しつつ治療を行うことも可能になります。ただし、適応となるのは粘膜表面にとどまり、かつリンパ節転移の可能性がほぼないと判断される場合です。
リンパ節転移のリスクについては、組織型、大きさ、潰瘍の有無から判断します。これらの条件に該当しない場合には、外科手術(開腹手術や腹腔鏡下手術など)が行われます。