卵巣がんのステージ1には、1a、1b、1cがあります。ステージ2には2a、2b、2cがあります。それぞれの状況は以下の通りです。
卵巣がんステージ1
腫瘍が卵巣にとどまっていて、他へ広がっていない
ステージ1a:腫瘍が片側の卵巣にのみ限局
ステージ1b:腫瘍が両側の卵巣に限局
ステージ1c:腫瘍が卵巣にとどまっているが、卵巣を包む膜が破れる、膜の表面にがん細胞が見られる、腹水にがん細胞が見つかる、のどれかがあてはまる
卵巣がんステージ2
腫瘍が卵巣を越えて、近くにある卵管や子宮、直腸、膀胱に広がっている状態。
ステージ2a:子宮や卵管に広がっている
ステージ2b:他の骨盤内臓器に広がっている
ステージ2c:腫瘍が骨盤内臓器に広がり、かつ卵巣を包む膜が被れる、膜の表面にがん細胞が見られる、腹水にがん細胞が見つかる、のどれかがあてはまる状態。
卵巣がんのステージ1、2の標準治療の方針
一般的にステージ1、2では手術で腫瘍を完全に摘出することを目指します。
初回手術の場合でも、治療と同時に早期であるかどうかを把握する目的があるため、大がかりなものになります。
実際に初回手術でがんが取り切れるのは、1期の場合のみと考えたほうがよいです。
少しでも残存の可能性があれば、TC療法を基本とする術後補助化学療法が行われます。副作用が軽い場合は、通院治療もできます。
卵巣がんステージ1aの治療方法
卵巣がんは発見が難しい病気で、発見されたときにはかなり進行している例が多い(発見時Ⅲ期以上が半数を占める)ため、がんが片側の卵巣のみに限られているⅠa期で発見されるのは稀です。
この段階であれば、適切な治療を受ければ高い確率で根治が期待できます。
早期とはいえ、基本の治療は両側の卵巣および卵管と子宮の摘出、大網の切除、骨盤から腎静脈の高さまでの傍大動脈リンパ節郭清(または生検)です。
大網は腹膜内で胃から垂れ下がり、臓器をおおう脂肪組織で、卵巣がんが最も転移しやすい臓器の1つです。
切除した大網の検査をして、転移していれば、腫瘍が片側の卵巣に限られていても、Ⅲ期以上の進行がんということになります。
なお、年齢が35~40歳未満で妊娠を希望している場合は、腹腔内を十分に観察し、腫瘍があるのは片側の卵巣のみであることを確かめたうえ、がんのある側の卵巣と卵管、大綱を切除し、反対側の卵巣と卵管、子宮を残します。
ただ、摘出した卵巣がんの病理診断でがんの分化度が高い場合には、反対側の卵巣や子宮も摘出する基本的な手術を行う必要があります。
卵巣がんステージ1b~2cの治療方法
ステージ1b~2c期の段階なら、肉眼的には、手術で腫瘍を完全に摘出できます。
標準的な手術方法は、単純子宮全摘出+両側付属器(卵巣と卵管)切除+大網切除、および骨盤~傍大動脈リンパ節郭清(または生検)です。手術後は、抗がん剤による化学療法を行います。