大腸がんの再発は、基本的にはいつ起こるかわかりません。手術から数か月で再発することもあれば、何年もたってから再発することもあります。
ただし、いままでの患者さんのデータを分析すると、再発の見つかりやすい時期というのがあります。
大腸がんの再発のうち、手術から3年以内に約80%が、5年以内には95%以上が見つかっています。つまり、大腸がんが再発するとしたら、そのほとんどが術後3~5年以内に診断されます。
手術のときに見えなかった小さながん細胞が、多くは3年以内、遅くとも5年以内には見えるようになってくる、ということがいえます。
なお、目に見えるがんを手術で取り除いても、すでに他の臓器に目に見えない微小転移が起こっていることもあります。
このようながんを見つけることは非常に難しく、わずかでもがん細胞が残っていれば、再発する可能性があります。
がんの進行度が高いほど再発の可能性は高くなりますが、逆にいえば、がんの進行度が低いほど再発の可能性も低くなります。
大腸がんの再発には2種類ある
大腸がんの再発は局所再発と遠隔臓器再発に大別されます。
局所再発とは、治療した局所にがんが残っていたり、手術時にがん細胞がこぼれ落ちたりして残り、それが次第に大きくなり、ある期間を経て治療した局所(大腸がんの場合は大腸9に再び同一のがんが現れることをいいます。
一般に「再発」と呼ばれているのがこれです。
遠隔臓器再発は、一般に「転移」と呼ばれます。
治療した局所から、がん細胞が血流やリンパ流に乗ってほかの臓器やリンパ節にいき、そこでがんを発症するものです。
大腸がん再発が起きる確率について
大腸がんは、ほかのがんと比べると再発や転移はあまり多くはありませんが再発は大腸がん全体の約17%にみられ、そのうちの約80%は、手術後3年以内に見つかっています。
再発が1つ(場合によっては2つ)の臓器に限られ、その再発がんを早期に切除できれば生存率も高く、ほかのがんよりは不安が少ないといわれています。
なお、ステージ1の大腸がんで粘膜内にとどまっているものを「mがん」、粘膜下層まででとどまっているものを「smがん」といいます。「m」は粘膜、「sm」は粘膜下層の略です。
いずれもきちん手術で切除できれば、再発の可能性は3%と低いです。
しかし、がんがリンパ管に入ったり、深部まで浸潤があったり、浸潤した腫瘍の悪性度が増している状態では転移のリスクも高く、最高で30%程度になります。
mがんではリンパ節への転移はおこりませんが、smがんの場合には、粘膜下層にリンパ管があるため、一部のがんに約10%の確率でリンパ節転移がおこります
結腸がんと直腸がんの再発
局所再発は結腸がんよりも直腸がんに多くみられますが、その理由は、腸管の長さや体内の位置に関係しています。
結腸は直腸に比べて長く、おなかの中では腸間膜に吊るされて比較的ゆったりした空間にあります。
そのため切除手術も行ないやすく、がんのできている腸管を含む周辺組織を広範囲に、比較的容易に切除することができます。それだけ、がんを完全に切除しやすいといえます。したがって、結腸がんの再発は直腸がんより少なく、局所再発はわずかで、肝転移などの遠隔転移のほうに多い傾向があります。
一方、直腸は結腸よりだいぶ短く、かたい骨盤に固まれているうえ、骨盤内臓器やその臓器の機能にかかわる神経などと隣接しています。
そのため手術では、がんのできている部分とその周辺組織を完全に切除することが難しいケースもあります。
その結果、手術後にがん細胞が直腸周辺に残ってしまうこともあり、結腸がんに比べると局所再発が多くなる傾向があります。