
こんにちは。がん治療専門アドバイザー、本村ユウジです。
大腸がんの手術を受けた患者さんにとって、再発は最も心配なことの一つです。
この記事では、大腸がんの再発について、最新のデータをもとに再発時期、ステージ別の再発率、局所再発と遠隔転移の違い、結腸がんと直腸がんの再発の特徴について説明します。
大腸がんの再発が見つかる時期について
大腸がんの再発は、基本的にいつ起こるかを正確に予測することはできません。手術から数か月で再発する患者さんもいれば、何年も経過してから再発が見つかる患者さんもいます。
しかし、これまでに蓄積された患者さんのデータを分析すると、再発が見つかりやすい時期には一定の傾向があることがわかっています。
国立がん研究センターが2024年に公表した大腸がんファクトシートによると、術後再発の87%が術後3年以内に、97%が術後5年以内に診断されています。
つまり、大腸がんが再発する場合、そのほとんどが術後3年から5年以内に見つかります。このため、サーベイランス(定期的な経過観察)期間は術後5年間が目安とされています。
手術時には確認できなかった微小ながん細胞が存在していた場合、その多くは3年以内に、遅くとも5年以内には画像検査などで確認できる大きさにまで成長するということです。
手術で目に見えるがんを完全に取り除いても、すでに他の臓器に目に見えない微小転移が存在していることがあります。
こうした微小ながん細胞を手術時に発見することは技術的に困難です。わずかでもがん細胞が残っていれば、時間の経過とともに増殖し、再発として診断される可能性があります。
大腸がんのステージ別再発率
大腸がんの再発率は、がんの進行度(ステージ)によって異なります。一般的に、がんの進行度が高いほど再発の可能性は高くなり、進行度が低いほど再発の可能性も低くなります。
日本対がん協会が公表している最新のデータによると、ステージ別の再発率は以下のとおりです。
| ステージ | 再発率 | がんの状態 |
|---|---|---|
| ステージ0 | ほぼ0% | がんが粘膜内にとどまっている |
| ステージI | 約5%(結腸がん3%、直腸がん7.2%) | がんが大腸の壁にとどまっている |
| ステージII | 約14% | がんが大腸の壁の外まで広がっている |
| ステージIII | 約29% | がんがリンパ節に転移している |
ステージ0の粘膜内にとどまるがんを完全に切除できれば、再発のリスクはほとんどありません。
ステージIの大腸がんでは、粘膜内にとどまっているもの(mがん)と粘膜下層まで広がっているもの(smがん)があります。「m」は粘膜、「sm」は粘膜下層を意味します。
これらを手術で完全に切除できた場合、再発の可能性は約3%から7%程度と比較的低い水準にとどまります。
しかし、がんがリンパ管に浸潤している場合や、深部まで浸潤がある場合、浸潤部分の悪性度が高い状態では転移のリスクも高まり、再発率は最大で30%程度になることがあります。
mがんではリンパ節への転移は起こりませんが、smがんの場合には粘膜下層にリンパ管があるため、一部のがんで約10%の確率でリンパ節転移が起こります。
ステージIIIの患者さんでは約29%に再発が見られ、およそ3人に1人の割合で再発が起こります。このため、ステージIIIでは手術後に再発予防を目的とした補助化学療法が6か月間実施されることが推奨されています。
ステージIIでも再発リスクが高いと判断される場合は、手術後の化学療法を実施することがあります。
大腸がんの再発には2つのパターンがある
大腸がんの再発は、局所再発と遠隔転移(遠隔臓器再発)の2つのパターンに分類されます。
局所再発とは
局所再発とは、手術で治療した部位やその周辺に再びがんが現れることを指します。
手術時に取り残されたがん細胞があった場合や、手術中にがん細胞がこぼれ落ちて周辺組織に残った場合、それらが時間をかけて増殖し、ある期間を経て再び同じ場所やその近くにがんとして確認されるようになります。
大腸がんの場合、手術を行った大腸の部位やその周辺組織、骨盤内のリンパ節などに局所再発が起こります。
一般的に「再発」と言われる場合、この局所再発を指すことが多いです。
遠隔転移(遠隔臓器再発)とは
遠隔転移は、一般的に「転移」と呼ばれるものです。
手術で治療した部位から、がん細胞が血流やリンパ流に乗って他の臓器やリンパ節に到達し、そこで増殖してがんを発症するものです。
大腸がんの遠隔転移で最も多いのは肝転移です。大腸から流れる血液は門脈を通って肝臓に運ばれるため、がん細胞が血液に乗って肝臓に到達しやすいからです。
次に多いのが肺転移です。特に直腸がんの場合、直腸遠位部の静脈血は肝臓を迂回して心臓に向かうため、肺転移が比較的多く発生します。
その他、腹膜、骨、脳などへの転移も起こることがあります。
遠隔転移が発見された時点で、がんは全身に広がっている可能性を考慮する必要があります。ただし、転移が1つまたは2つの臓器に限られており、その転移がんを早期に切除できる場合は、生存率も比較的高く、治療の選択肢も広がります。
結腸がんと直腸がんの再発の違い
大腸がんは発生部位によって結腸がんと直腸がんに分けられますが、この2つでは再発のパターンに違いがあります。
結腸がんの再発の特徴
結腸は直腸に比べて長く、腹腔内では腸間膜という膜に吊るされて比較的ゆったりした空間に位置しています。
このため、手術時の視野が広く、がんのできている腸管を含む周辺組織を広範囲に切除することが比較的容易です。それだけ、がんを完全に取り除きやすいといえます。
したがって、結腸がんの局所再発は直腸がんより少なく、局所再発率は1%以下とわずかです。結腸がんでは、局所再発よりも肝転移や肺転移などの遠隔転移が多い傾向があります。
直腸がんの再発の特徴
一方、直腸は結腸よりもかなり短く、骨盤という固い骨に囲まれた狭い空間に位置しています。
また、直腸の周囲には膀胱、前立腺、子宮、卵巣などの骨盤内臓器や、これらの臓器の機能に関わる自律神経が隣接しています。
このため手術では、がんのできている部分とその周辺組織を完全に切除することが技術的に難しいケースがあります。手術視野が狭く、周辺臓器や神経を損傷しないように配慮しながら切除を行う必要があるためです。
その結果、手術後にがん細胞が直腸周辺に残ってしまうこともあり、結腸がんに比べると局所再発が多くなります。直腸がんの局所再発率は約10%で、結腸がんの1%以下と比較するとリスクが高いことがわかります。
直腸がんでは局所再発に加えて、肺転移も比較的多く発生します。がん研有明病院のデータによると、直腸がんでは肝転移に次いで局所再発が多く、さらに肺転移も比較的高い頻度で発生すると報告されています。
再発を早期に発見するためのサーベイランス
大腸がんの術後再発の87%が3年以内、97%が5年以内に診断されることから、手術後5年間は定期的な検査を受けることが推奨されています。
通常、手術後の最初の3年間は3か月から6か月に1回の頻度で腫瘍マーカー検査(CEA、CA19-9など)やCT検査を実施し、遠隔転移や局所再発の有無を確認します。
その後の2年間(術後4年目から5年目)は6か月から1年に1回の頻度で同様の検査を実施するのが一般的です。
また、1年から2年ごとに大腸内視鏡検査も行います。これは再発のチェックだけでなく、大腸の別の部分に新たながんができていないかを確認する目的もあります。
ステージ0の粘膜内がんで完全切除された場合は、再発リスクがほとんどないため、定期検査の必要性は低くなります。
一方、ステージIIIの場合は再発率が約29%と高いため、より慎重なサーベイランスが必要です。
再発が早期に発見できれば、再び手術でがんを切除できる可能性があります。また、手術が難しい場合でも、化学療法や放射線療法などの治療によって生存期間の延長が期待できます。
定期検査を怠ると、再発の発見が遅れ、適切な治療を受ける機会を逃してしまう可能性があります。医師の指示に従って、きちんと定期検査を受けることが重要です。
再発時の治療について
再発した場合の治療は、再発の部位や範囲、患者さんの全身状態によって決定されます。
再発が1つの臓器のみに限定されていて、完全に切除できると判断された場合は、再び手術が検討されます。再発した臓器が2つ以上でも、それぞれが切除可能な場合は手術を検討することがあります。
国立がん研究センターのデータによると、吻合部での再発や局所再発の場合は、手術によって治癒する可能性もあります。
切除できない場合には、全身の状態や再発した部位により、薬物療法(化学療法、分子標的療法、免疫療法)や放射線治療、または対症療法が検討されます。
近年、薬物療法の進歩により、切除不能と判断された進行再発大腸がんの生存期間中央値は約2年まで延長してきました。化学療法の目標は、腫瘍の増大を遅延させて延命と症状コントロールを行うことです。
また、化学療法が奏効して切除可能となる場合もあります。
まとめにかえて
大腸がんの再発について、最新のデータをもとに説明しました。
再発の87%は術後3年以内に、97%は術後5年以内に見つかることから、手術後5年間の定期的な経過観察が重要です。
再発率はステージによって異なり、ステージIで約5%、ステージIIで約14%、ステージIIIで約29%となっています。
また、結腸がんと直腸がんでは局所再発率に違いがあり、直腸がんの方が局所再発のリスクが高い傾向にあります。
再発を早期に発見し適切な治療を受けるために、医師の指示に従って定期検査を受けることが大切です。
参考文献・出典情報
- 日本対がん協会「大腸がんの基礎知識〜症状と治療〜」
- 国立がん研究センター「大腸がんファクトシート 2024」
- 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)治療」
- 大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドライン 医師用2019年版」
- 秋葉原・胃と大腸肛門の内視鏡クリニック「直腸がんの再発率は?再発しやすい時期、再発パターンを完全解説」
- がん研有明病院「大腸がん|がんに関する情報」
- 兵庫医科大学病院「直腸がん局所再発」
- 武田薬品工業「大腸がんサポートnavi 大腸がんの再発と転移」
- 瀬田クリニック東京「がんは2年以内の再発率が高い?再発のメカニズムや治療法」
- 同仁クリニック「大腸がんの転移とは?主な転移先や治療法について解説」

