28.がんと栄養成分

ビタミンは摂りすぎても大丈夫?過剰症と安全性

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ビタミンの摂りすぎは大丈夫?

■ビタミンは過剰摂取するとどうなる?

ビタミンの中には余分にたくさん取っても、体に貯まらないで直ぐに尿に排泄されてしまうものもありますし、なかなか排泄されないで体に貯まりやすいものもあります。

ビタミンB群の仲間は水に溶けやすいため、余分に取っても直ぐにおしっこに出てしまいます。よくビタミンB1のたくさん入った薬剤を飲んでトイレに行くと、少し臭いがすることがあります。この臭いは、余分なビタミンB1が体を素通りしていった証拠です。

ビタミンB1を尿に出すために余分なエネルギーを使い、腎臓も少し余計に働きますが、体に必要以上貯まらないという点では、過剰症の心配が少ないことになります。水溶性のビタミンの中ではビタミンB6を除くと、過剰摂取の問題は少ないといえます。

水溶性ビタミンに比べると、脂溶性ビタミンは油に溶けているために、体に残りやすい性質を持っています。しかし、4つの脂溶性ビタミン(AとDとEとK)でそれぞれ性質が違いますので、すべてを一緒にするのはよくありません。

昔から過剰症が問題にされたのはビタミンAとDです。

ビタミンKも薬剤として取るのには医師の処方箋が必要です。それは過剰の摂取で問題が起きるかも知れないからです。ビタミンEだけは脂溶性ビタミンにも拘らず、過剰摂取の害が問題にされることはまずありません。

タンパク質や脂肪でも、あるいは食塩でもこれらが体に必要なことはよくわかっていますが、あまりに取りすぎれば、健康に悪影響を及ぼすこともよく知られています。

ビタミンEも似たようなもので、薬局で買える範囲の含量のものを毎日指定通り飲んでいる程度なら過剰症にはなりません。この点が他の脂溶性ビタミンと違います。

(1)ビタミンAの過剰摂取

ビタミンAを体の中に貯蔵する場所として肝臓があります。ウナギ類は筋肉にも蓄えますが、人は肝臓だけです。このビタミンAは、目がものを見る時や皮膚の仲間の細胞の正常な発育と機能に欠かせないビタミンです。

しかし、水に溶けないことや、そのままでは血液中を流れられないので、血液の中で特別なタンパク質と結合して、目的の場所まで運ばれていきます。また、いつも多過ぎないよう、少な過ぎないよう、決った量が流れるようになっています。

もし、ビタミンAをとても過剰に取ると、例えば栄養所要量の50倍とか、100倍といった量を一時に取ると、頭痛とか、吐き気、皮膚がつるりと剥げてしまうといった症状がでます。

また、長期にわたって取り過ぎた時の慢性症状には、腫瘍のようなものができたり、妊娠の時には奇形が生じることも実験動物では知られています。

ビタミンAは余分に取ったビタミンを肝臓に貯めておくことができますから、多くても栄養所要量の5倍程度にして、少し余計に取り過ぎているなと思ったら、後2、3日は控え目にするといった工夫が必要です。

(2)ビタミンDの過剰摂取

ビタミンDはカルシウムを細胞に運んだり、骨に蓄えたり、骨から動員したりするのに欠かせないビタミンです。

成人では過剰症は比較的起こりにくいのですが、乳児にビタミンD製剤の1つであるシロップをたくさん飲ませ過ぎると臓器にカルシウムが貯まり過ぎて、ビタミンD過剰症を起こすことがあります。

この過剰症はビタミンDを当分の間、全く与えないでいると、少しずつ改善され完全に治癒しますが、なかには臓器にカルシウムが沈着し過ぎて臓器が働けなくなり、不幸な結果を引き起こした症例が報告されたことがあります。

この原因はビタミンDの入ったシロップの濃度が割合濃く、注意書きには1滴とあるのに、母親が、多い方がもっと効くと考え与えすぎたためでした。成人より子供では、適応能力の幅が狭いので、ビタミンDのように過剰症を起こしやすいビタミンの取りすぎには特に気をつけることが大切です。

ビタミンDは最終的には一種のホルモンとして機能しているので過剰に取ると害が出やすいといえます。

成人の方が子供より過剰症が出にくいとはいっても、取り過ぎには気をつけるべきです。
ただ老人、特に女性の老人では、もともとカルシウムが不足しやすい上に、ビタミンDが足りないと骨がスカスカになり、ちょうど大根に鬆が入った状態に似てきます。

ですから、取り過ぎることを注意するよりは、もともと食事に少ないカルシウムの利用率をよくする上でも、十分にビタミンDを取ることに注意する方が大切です。この時、ビタミンKの多い食品も余分に取ることを心掛けたいものです。

(3)ビタミンEの過剰摂取

ビタミンEは過剰症の起こりにくいビタミンの1つです。

それは脂溶性ビタミンとはいっても、体にたくさんある貯蔵脂肪にも蓄えられているからです。

以前、大量のビタミンEを動物に与えると、障害が出るという報告がされたことがあります。この実験では、ネズミの胃の中に直接投与するという方法をとりました。その結果、ネズミが油を吐いたりして、障害を起こしたことが確認されました。

しかし実は臓器によって特殊性があり、肝臓以外のすぺての臓器や器官には、ビタミンEがある限度以上には入り込めないことが確認されています。それで、過剰症が起こりにくいという理由がわかりました。

また、摂取量が増えると、人でも吸収率がどんどん下がってしまうこともわかりました。
つまり、たくさんビタミンEをとっても、体の中に入る量はそれほどは増えないというわけです。

ビタミンEは肝臓に貯まる性質を持っています。

しかし、あまり肝臓に貯まりすぎてもいけないので、医薬品としては1日摂取量は、最大300ミリグラムとされています(治療用の医薬品では600ミリグラムまで1日に投与してよいとされている。これは医師が患者の健康状態のチェックをきちんとしていることとビタミンEの薬理作用を治療に応用しているため)。

普段、サプリメントを飲む時は、この範囲を越えないように注意しましょう。(まず越えることはないはずです)

(4)ビタミンC

ビタミンCは水溶性ビタミンなので、過剰症の心配がないと考えられていました。しかし、ビタミンCが体の中で分解されると、シュウ酸ができ、カルシウムとくっついて結石を作りやすいといわれています。ではなぜ、たくさんのビタミンCを取ると、シュウ酸を余計に作って腎臓結石や尿路結石になりやすいのでしょうか。

モルモットなどの動物実験では、結石は特にできないといわれています。しかし、人は遺伝的にビタミンCを合成できない数少ない動物の1つです。霊長類やモルモットなどの極く一部の例外を除くと、どの哺乳動物もビタミンCを合成しています。これは、ビタミンCを作るのに必要な酵素の1つが進化の過程でなくなってしまったからです。

また、人の先祖である霊長類は森林に住んでいて、食物からビタミンCを多量に補給することが可能だったので、ビタミンCを作れなくなっても何の影響も被ることがなかったといえます。

しかし、その後人類は森を離れ、草地に降り、さらにはビタミンCの多くない動物性食品だけを食べているような人種にも分化してきました。これは、人がわずかなビタミンCでも十分賄えるよう、長い期間に適応してきたからです。

サルは1日に2~3グラムもビタミンCを取っているので、人間も同じだけ取る方がいいなどという議論がよくありますが、この適応といった点が人とサルの大きな違いでしょう。人でも毎日500ミリグラムといったように、余分にビタミンCを取っていて、その後、急に栄養所要量位の50ミリグラム程度に下げてしまうと、ビタミンC欠乏になるといわれています。

そのようなわけで、少ない量のビタミンCに人が適応していることを考えると、あまりにたくさんのビタミンCを取り続けることは、結石のもとになるシュウ酸を作りやすくする可能性があります。ですから、最大でも栄養所要量の10~20倍の範囲に止めておくくらいの注意は必要です。

もちろん人では、1日に約50ミリグラムのビタミンCがあれば、体のビタミンCのプールは一杯になるとされています。この場合、人のビタミンCプールは約1.5グラムだとして計算されています。

しかし、人によっては、3グラムという人もいます。こうしたことやビタミンCの抗酸化剤としての機能も考えると所要量の10倍程度はとっても、ほとんど害がないといえます。

以上、ビタミンに関する解説でした。

がんと闘うには、人間の体のことや栄養素についてもある程度理解しておくことが大切です。

何をすべきか、正しい判断をするためには正しい知識が必要です。患者として、家族として必要な知識はこちらのガイドブックにまとめました。

がん治療で「絶対に」やってはいけないことは?

興味がある方は読んでみてくださいね。

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本村ユウジ

「がんの研究と、患者さんのサポート」を2008年から続けています。現在まで、3,000名を超えるがん患者さんやご家族をサポートしてきました。詳しいプロフィールはこちら。

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