10.肝臓がん

肝臓がんのマイクロ波凝固療法とラジオ波焼灼療法が適応となるケース

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ラジオ波焼灼療法

肝臓がんの熱凝固療法ともいわれる「マイクロ波凝固療法」および「ラジオ波焼灼療法」は、患者の体が傷つくことが比較的少ない(侵襲度が小さい)手法です。しかし、これらの治療法では、エタノール注入療法より太い針を使うため、副作用がより大きくなるおそれがあります。そこで、肝臓の障害度については、より厳しい制限が設けられています。

■熱凝固療法が実施できるケース

熱凝固療法は、熱によって組織を固める治療法なので、肝動脈塞栓療法やエタノール注入療法とは異なり、腫瘍の性質(被膜の有無、血流の豊富さなど)はあまり問いません。そのため、肝細胞がんだけでなく、他の臓器から転移したがん(転移性肝臓がん)でも、これらの手法で治療することができます。

ただし熱凝固療法は、治療できる腫瘍の大きさや数に制限があります。単独で治療を行う場合は、腫瘍が3個以内で、直径が最大3センチ以下の患者が適しているとされます。

ただし、マイクロ波凝固療法は、治療できる範囲が狭いため、腫瘍の大きさは2センチ以下が望ましいとされます。2センチ以上の腫瘍は、何度か針を刺し直して治療を行う必要が生じます。そのため、患者の体の負担が大きくなります。

■熱凝固療法が実施できないケース

熱凝固療法が可能かどうかは、腫瘍の性質にはあまり関係しません。しかし、腫瘍の位置によっては、治療が困難な場合があります。また、全身状態が悪いときや肝臓の障害度が高いときにも、この治療は避けるべきとされます。以下は、治療が禁じられる、あるいは治療に慎重になるべきケースです。

1.肝臓表面に腫瘍がある

肝臓の表面や表面近くにある腫瘍は、皮膚を通して電極針を適切な位置に刺すことが困難な場合があります。また、電極針は一定の深さまで刺さないとショートしますが、肝表面の腫瘍ではその深さまで刺せないことがあります。

さらに、肝臓の表面の腫瘍を治療するときには、発生する熱によって腹膜が強い刺激を受けるため、ひどい痛みを感じます。それだけでなく、他の臓器が熱傷を受けることもあります。腫瘍が心臓に近い場合には、針を突き通して多量の出血を招くという別の危険もあります。

そこで、肝臓の表面やその近くの腫瘍は、腹腔鏡下に行うか、開腹して慎重に治療します。ただし熟練した医師は、治療する場所に十分な麻酔をほどこす、全身麻酔を行うなどして、経皮的に行うこともあります。

2.腫瘍の近くに太い血管がある

腫瘍の近くに大きな血管が存在すると、血流によって組織が冷却されて、腫瘍が十分に凝固しないことがあります。とりわけラジオ波焼灼療法は、マイクロ波凝固療法よりも熱が緩やかに発生するため、その可能性が高くなります。そこで、このような場合には、熱凝固療法は避けるべきとされます。

いっぽう熱凝固療法では、エタノール注入療法より太い針(直径1.5~2ミリ)を使うため、誤って太い血管を刺すと、大出血のおそれがあります。そのため、太い血管を貫かずに腫瘍に針を刺すことができない場合には、この治療法は選択できません。

3.腫瘍の近くに胆管や胆嚢がある

腫瘍の近く、あるいは針を刺すルート上に胆管が存在すると、胆管を刺したり傷つけるおそれがあります。これにより、肝臓の内部や腹腔に胆汁がもれてたまることがあります。
また、腫瘍の近くの胆管が治療時の熱によってふさがり、黄疸になる危険もあります。肝門部には太い胆管があるため、この部分の腫瘍は別の治療を行うことが望ましいとされます。熟練した医師は、十分な副作用対策をとりながら、肝門部でも熱凝固療法を行うことがありますが、副作用のおそれがないとはいえません。

このような場合、経皮的手法よりも腹腔鏡下で治療を行うほうがより危険が少ないとされています。肌嚢の近くに腫瘍がある場合にも、胆汁がもれるおそれがあります。

4.腫瘍が門脈をふさいでいる

熱凝固療法では、治療中に熱によって腫瘍の内部から気体が発生します。そのため、腫瘍内の圧力が高くなります。門脈内に腫瘍がある場合、熱凝固療法で治療を行うと、気体の圧力で被膜が破れて、内部のがん細胞が門脈にまき散らされる危険があります。

そこで、腫瘍が門脈をふさいでいるときには、できれば別の治療法を選択すべきとされます。

5.出血傾向がある

熱凝固療法では、太い針を肝臓に突き刺すことになるため、治療時に出血するおそれがあります。針を抜くときに組織を凝固していけば、出血の危険はほとんどないものの、肝臓の機能が落ちます。したがって、著しい出血傾向のある場合には、この治療を行うべきではないとされます。

6.肝機能が不良である

熱凝固療法は、侵襲度の比較的小さい治療法であり、肝臓の機能に与える影響も少ないと考えられています。

しかし、治療で発生する熱によって血管に血栓ができるなどが原因となって、肝機能が低下することがないとはいえません。そこで、通常は肝障害度B(臨床捕期2)までが適応となります。肝障害度C(臨床病期3)までを適応としている病院もあります。

また、肝障害度がBでも、黄疸がひどいときには治療を行いません。具体的には、総ビリルビン値が血液100ミリリットルあたり2ミリグラム以上の場合は、この方法を選択しない病院があります。3ミリグラム以上になると、この治療は実施されません。腹水、胸水が治らない場合も治療は行いません。

7.食道や胃に静脈瘤がある

肝臓がんの患者は、しばしば食道や胃に静脈瘤を併発しています。このような場合、治療後に静脈瘤が悪化することがあるため、静脈瘤の治療を優先することがあります。静脈瘤は、肝硬変などで肝臓に血液が流れにくくなった結果、行き場を失った血液が食道や胃の血管へ流れ込み、静脈が太く浮き出た状態をいいます。

8.ペースメーカーを使用している

心臓に弱い電流を流して、その拍動リズムを保つペースメーカーを装着している患者は、この治療を受けられません。

熱凝固療法では、組織を凝固させた後、組織から電極が離れやすくするために直流電流を流します。これを解離電流といいます。解離電流はペースメーカーのはたらきを乱したり、ペースメーカーを破壊することがあります。

以上、肝臓がんの治療法についての解説でした。

肝臓がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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本村ユウジ

「がんの研究と、患者さんのサポート」を2008年から続けています。現在まで、3,000名を超えるがん患者さんやご家族をサポートしてきました。詳しいプロフィールはこちら。

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