がんが進行性の病気であることは知られていますが、医学的には「がん細胞の増殖」にはいくつかの種類があります。主なものは次の5つです。
1.自律性増殖
2.進行性増殖
3.浸潤性増殖
4.転移性増殖
5.消耗性増殖
1)自律性増殖
がんが発生している患者の身体全体のコントロールとは関係なく勝手に大きくなることをいいます。
2)進行性増殖
がんが常に増大していることをいいます。治療などを加えられない限り、基本的には縮小せず、増大していきます。
3)浸潤性増殖
がん細胞が接している正常組織の中へ、あたかも液体がしみこむように連続して侵入していくことをいいます。がん組織と正常組織が接している部分を組織学的に観察すると、正常組織の中にがん組織(細胞)が連続して存在するのを確認することができます。
4)転移性増殖
原発巣から離れた部位にがん病巣を形成することをいいます。このように原発巣から隔たった部位にがん病巣を形成する形態として、①血行性転移、②リンパ行性転移、③播種があります。
①血行性転移とは、がん細胞が遊離し、血液の流れに乗って遠隔部位に達し、そこで病巣を形成することです。
②リンパ行性転移とはリンパ液の流れに乗って遠隔部位(リンパ節も含めて)に達し、そこで病巣を形成することです。
③播種とは、体腔内にあたかも種子をばら撒いたように散在して、病巣を形成することをいいます。腹腔内に生じた播種を腹膜播種といい、胸腔内に生じた播種を胸膜播種といいます。がん細胞の播種は。脳脊髄腔にも引き起こされます。
5)消耗性増殖
消耗性増殖とは、患者の身体機能を衰弱させ悪疫質に陥らせて、最終的には生命を終結させることをいいます。
以上、がん細胞の特徴についての解説でした。