17.膵臓がん

膵臓がん治療法「ナノナイフ」。受けるための条件や費用は?

この記事では膵臓がんで行われるナノナイフという治療法に関して「どんな場合に受けられるのか」「どこで受けられるのか」「効果や意味は」「副作用や後遺症」「ナノナイフを受ける際にかかる費用」などについて解説したいと思います。

膵臓がんの治療法の基本

保険内で受けられる膵臓がんの治療法は、手術、放射線、化学療法(薬を使った治療。膵臓がんの場合は抗がん剤治療)の3つです。

手術や放射線は限られた範囲にあるがんを局所的に治療する方法なので、遠隔した臓器に転移がある場合には行われません。

具体的には、ステージ2であれば手術か放射線を選択して実施することができます。

【膵臓がんステージ2】
がんの大きさが2㎝以下で膵内にとどまり、第一群リンパ節(膵周囲のリンパ節)に転移があるもの。もしくはがんの大きさが2cmを越え膵内にとどまり、リンパ節転移がないもの。

ステージ3の場合は放射線では対応しきれず、残存リスクが高くなるので原則としては手術のみが選択肢となります。

【膵臓がんステージ3】
がんの大きさが2cm以下で膵内にとどまるが、第二群リンパ節転移があるもの。または、がんの大きさが2cmを超えるが膵内にとどまり、一群リンパ節に転移のあるもの。もしくは、がんが膵を超えて膵内胆管や十二指腸、膵周囲組織に浸潤があるが、リンパ節転移がないか、一群リンパ節転移までのもの。

ステージ4はステージ3よりも進行し、膵臓を超えたがんの進行があるものです。

ステージ4の場合は手術や放射線は適応とならず、抗がん剤治療が中心となります。これが国内における標準治療の枠組みです。

ナノナイフ治療の目的と実施可能な条件

ナノナイフ治療の目的は「ステージ4で、本来なら抗がん剤治療しかできない膵臓がんをステージ3にダウンステージさせて手術を行えるようにすること」です。

注意点として、この「ステージ4」にはaとbの2種類があるということです。

ステージ4aならナノナイフの治療対象となりますが、ステージ4bではナノナイフで対処できる範囲を超えて進行しているため、ナノナイフは実施できません。ステージ4bの場合は抗がん剤治療のみが治療の選択肢になります。

では、ステージ4aとはどのような状態でしょうか。

【ステージ4a】
がんが膵を超えて膵内胆管や十二指腸、膵周囲組織に浸潤があり、二群リンパ節まで転移があるもの。あるいは、がんが膵を超えて膵臓周囲の血管に浸潤があるが、リンパ節転移がないか、一群リンパ節までに転移を認めるもの。

つまり、ナノナイフが対象としているのはステージ4aのみ、になります。ただしステージ判断が微妙な場合は直接治療可能か確認するようにしましょう。

ナノナイフ治療が実施できる病院と費用

ナノナイフは現時点で(2016年時点)保険適応とはなっておらず、自由診療となります。費用は230万円となっています。実施可能なのは東京の山王病院の森安史典医師だけです。

東京医科大学と国立がん研究センター中央病院が、先進医療を目指してナノナイフ治療の臨床研究を行っていますが、現時点で実際に治療を受けようとすれば山王病院へ行くことになります。

ナノナイフ治療とは?その方法

ナノナイフ治療とは、細い電極針を膵臓がん病巣を取り囲むように刺して、そこに高電圧で通電することで、ナノサイズ(1mmの100万分の1)という極小の穴をがん細胞に貫通させて死滅させる治療法です。

高電圧といっても熱で焼灼するわけではありません。

3,000ボルトの高電圧を、1万分の1秒だけ通電させることで瞬時にがん細胞質を攻撃し、細胞を壊す、というメカニズムです。

【ナノナイフ装置】

ナノナイフ治療器

ナノナイフ治療の特徴は電流で細胞のみを死滅させるため、血管など他の器官や組織にはダメージを与えないことにあります。

つまりナノナイフ治療では、臓器の構造や血管、神経などを傷つけずがん細胞を攻撃できることが大きな利点だといえます。

治療の際は全身麻酔を行い、超音波ガイドをもとに長さ15cm、太さ1.1mmの電極針を、腫瘍を囲むように3~4本刺します。針の先端には電気が流れる電極部分があります。

電流をおよそ1秒に1回の間隔で100回ほど流してがん細胞を攻撃します。

治療にかかる時間はおよそ2時間ほどで入院日数はおよそ10日です。

ステージ4aの切除できない局所進行した膵臓がんが対象

先述したとおり、ナノナイフ治療が適応になるのは、手術ができないと判断された局所進行膵がんです。遠隔転移や腹膜播種がないことが条件になります。

ステージでいうとステージ3以上、ステージ4a以内といえます。

その他、重要な条件として腫瘍の大きさが挙げられます。

治療ができる領域は3~4cm以内なのでそれより腫瘍が大きいと、ナノナイフ治療が物理的に実施できません。

また膵臓周辺に孔をあける治療になるため、体へのダメージもそれなりにあります。そのため体力的に厳しく、ほとんど食べられず寝ているというような患者さんは実施することが難しいといえます。

ナノナイフの治療成績は?

膵臓がんに対して、ナノナイフをもっとも行っているのは実はアメリカです。

アメリカのルイビル大学が2015年に発表した論文によると、200例の切除不能な局所進行膵がんに対してナノナイフ治療を実施したところ、50例でダウンステージングができて手術可能になったとしています。

それ以外の150例については、化学療法との併用を行ったとのことです。中には治療後6年経過した人もいると報告しています。

ナノナイフは治療実施前に「対象となるか」「治療に耐えうるか」「効果をしめせるか」を検討してから実施する方法です。そのため治療が実施できるケースでは目的とした効果を発揮できることが多いといえます。

合併症や後遺症について

ナノナイフ治療の合併症はいくつかあります。治療中に起きる主な合併症は「不整脈」「高血圧」「出血」です。

治療中に不整脈が起こるリスクがあるため元々心臓に持病がある人はナノナイフは適応外となります。

また治療後に見られる後遺症は「腹痛」「膵炎」「出血」「血栓」「膿瘍(感染)」などがあります。

頻度が高いのは腹痛ですが基本的には手術後1~2日で回復することが多くさほど大きなリスクではないですが、膿瘍(感染)には特段の配慮が必要です。

膵がんが十二指腸に浸潤している場合、がんをナノナイフで治療すると、がんは壊死したものの、そこに細菌が入り膿を作ってしまうことがあり、最悪の場合は敗血症で死に至ることもあります。

そのため基本的に十二指腸に浸潤した膵がんについては、ナノナイフによる治療が推奨されず、治療できないことが多いです。

以上、膵臓がんのナノナイフ治療についての解説でした。

がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。

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