15.頭頸部のがん

咽頭がん、喉頭がんの最新手術方法はロボット手術。後遺症を少なく。

咽頭がん、喉頭がんは発生部位がノドの奥、首になるため治療による後遺症が色濃く残る可能性があります。

喉頭と咽頭部分

歌手のつんくさんが喉頭がんの治療のため声帯を切除し、声を失ったことは多くの人が記憶にあると思います。

咽頭がん、喉頭がんが発生したとき、遠隔転移がなければ頸部を切開する「外科手術」と放射線治療を行うのが標準的でしたが、これらの治療では嚥下機能(飲み込む機能)や発声機能を低下させたり失ったりする可能性があります。

治療はうまくいってもその後の生活に多大な影響を与えるのです。

もっと体に負担の少ない手術はないか、ということで研究が重ねられ、導入されるようになったのが「ダヴィンチ」を使ったロボット手術です。

ダヴィンチとはどんなロボットか

患者に医師が直接触れることなく、医師が3Dカメラで撮影された立体画像を見ながら遠隔操作でアームロボットを操作するものです。

ダヴィンチ手術

ダヴィンチ手術

医師は座って施術することでストレスなく目の前の画像と手元の手技に集中することができます。

前立腺がんの治療などではメジャーな存在になってきており、世界では年間30万例ほどダヴィンチによる手術が行われています。

メリットとしては従来の人間が実施する手術に比べて「出血量が少ない」「傷口が小さい」「術後の痛みが少ない」「回復が早い」「人間の機能を温存しやすい」が挙げられます。

ロボット手術は臨床試験の段階だが条件が合えば受けられる

ダヴィンチを使った咽頭がん、喉頭がんの手術は現時点(2016年)では保険治療ではありません。つまり標準治療ではなく「先進医療B」として承認されている治療法です(中咽頭がん、下咽頭がん、喉頭がんに対して承認されている)。

そのため、どこでも受けられる治療法ではなく、日本国内では東京医科大学病院、京都大学医学部附属病院、鳥取大学医学部附属病院の3施設だけで「臨床試験」として治療が行われています。

ロボット手術を受けられる条件

咽頭がん、喉頭がんにおけるロボット手術はどのように行うのか、というお話の前に「どんな状況ならロボット手術を受けられるのかどうか」を解説します。

受けられる条件は基本的には早期がんです。具体的には以下の表のとおりです。

がんの状態に関連するもの 病理検査で咽頭がん、あるいは喉頭がんと診断が確定していること。
腫瘍の大きさが4cm以下。
周辺組織との癒着がないこと。
そのほかの条件 85歳未満。
口を開く、など頭頸部の自然な動きができること。
本人が臨床試験であることを理解して承諾できること。
手術に影響する他の病気がないこと。
妊娠・授乳中でないこと。

どのように治療をするのか

まず、どこにどのくらいの病変(がん腫瘍)があるのかを正確に把握するためにCT検査、MRI、超音波検査などを行います。

手術に当たっては全身麻酔を行います。マウスピースなどの準備を行ったあとに口から腫瘍切除用の鉗子(かんし)の付いた2本のアームと内視鏡を挿入します。

内視鏡で内部の状況を確認しながら、指につけたコントローラを駆使してアームを動かし、腫瘍を切除します。アームは多関節で微細な動きを実現できるため内視鏡手術と違って操作しやすく、ムダなく正確に狙った部分を切除することができます。

手術時間は一般的には30分~120分ほどで終わります。回復も早く、術後3日~7日ほど経過すると口から食事がとれるようになります。12日後くらいには退院できるまで回復します。

ロボット手術は何が良いのか?

従来の手術では、嚥下に必要な筋肉を切断するリスクがあり、そのため食べ物を飲み込むのが困難になる可能性がありました。食べものを飲み込めない、というのは日常生活においてはとても辛いことです。

また、放射線治療では「長期にわたり唾液がでない」という後遺症があります。唾液が出ないためかなり頻繁に水分を補給しなければならず、生活上のストレスはかなり大きくなります。

具体的には放射線治療を行った9~39%の患者が長年にわたり口から食べることができなくなり、胃瘻(いろう)を設置せざるをえなくなることが分かっています。

このように「唾液が出ない」「食べ物を飲み込みづらい」「発声がしにくい、あるいは発声ができない」といったことが起こりえます。ロボット手術ではそのような後遺症を軽減しつつ、がん腫瘍を切除することができる、ということです。

咽頭がん、喉頭がんと告知され、早期の場合だと「放射線ができます」という話になるのが一般的です。「手術よりも放射線のほうがダメージが小さい」という先入観があるため、そのまま放射線治療を受ける人が多いですが、今はダヴィンチによるロボット手術が受けられる可能性があり、それは放射線治療よりもダメージが小さいものです。

受けられる施設が少ない、臨床数が少ないなどの課題はありますが治療の選択肢としては十分に考慮してもよい方法だといえます。

以上、咽頭がん、喉頭がんの手術についての解説でした。

私がサポートしている患者さんへもセカンド・オピニオンを薦めることがありますが、多くの医師は専門領域のことしか答えられない傾向があります。

「どのようにしてがんと闘うのか」については総合的に考えなくてはなりません。詳しくはこちらのガイドブックで。

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