腎臓がんの化学療法としてまず挙げられるのは、インターフェロンを使ったサイトカイン治療です。インターフェロンはB型、C型ウイルス肝炎の治療薬として知られていますが、ウイルスのみならず、がん細胞の増殖を抑える作用があります。
ただこれまで腎臓がんではインターフェロンは良く効く人が10%、多少効果のある人を含めても約20%が限界でした。現在インターフェロンと血管新生阻害作用のある分子標的薬との併用により効果が向上してます。
腎臓がんでは抗がん剤はほとんど効果のないことが分かっていため、その状況下で登場したのが「分子標的薬」です。これは体内の特定の分子に作用してがん細胞や栄養血管の増殖を止めようとするものです。
腎臓がんの分子標的薬は2008年に「スニチニブ」と「ソラフェニブ」が承認され、10年には「テムシロリムス」と「エベロリムス」が、そして、2011年は「アキシチニブ」が承認されました。
スニチニブとソラフェニブは、がんが新生血管を作るのを抑え、がんに栄養が届かなくする作用があります。テムシロリムスとエベロリムスは、mTORというタンパクを阻害してがんの増殖を止めようとするものです。
つまり腎臓がんの分子標的薬は、基本的にがんを直接叩くというよりも、栄養を断って兵糧攻めにするもので、進行を抑えるといった働きです。それでも副作用が少ないと良いのですが、骨髄抑制とか間質性肺炎など強い副作用が出ることもしばしばあり、充分な配慮が必要な治療薬というのが現状です。
以上、腎臓がんの化学療法についての解説でした。