腎臓がんにおける病院での治療は、機能をできる限り残すことに主眼がおかれ、がんが4センチまでであれば手術も部分切除が基本的に行われています。しかし、部分切除ができるがんであっても、患者の状態によっては部分切除が受けられないケースがあります。
全身状態が悪くて全身麻酔がかけられない、あるいはどうしても手術を受けたくないなど、さまざまな理由で手術が受けられない、というケースです。このような場合には手術ではない局所療法が用いられます。
具体的には「凍結療法」と「ラジオ波焼灼療法」で、どちらも適応となる患者はほぼ同じです。
凍結療法
超音波(エコー)やCT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴断層撮影)の画像で腎臓がんの位置を確認しながら、背中から注射針のような直径1.5ミリ程度のプローブをがんの中心部に向けて刺します。
そこでアルゴンガスを使って凍結させ、ヘリウムガスで溶かし、再度アルゴンガスで凍結させます。このように2度の凍結を行うことでがん細胞を死滅させる方法です。この凍結療法は2011年7月から「4センチ以下の腎臓がん」に対して健康保険が適用となっています。
ラジオ波焼灼療法
治療法としては凍結療法と同じで背中から針をがん部分に刺します。麻酔は局所麻酔で行います。がんの中心に針が入ったところで通電し、AMラジオ並みの高周波で患部を70~100度にしてがん部分を焼灼する治療法です。
治療は30分から60分程度で終了します。腎臓がんのラジオ波焼灼療法は、先進医療として受けられる施設が2012年10月1日の時点で全国に18施設あります。
ただし、これらの局所療法と比較して、根治性としては手術がまさっていると考えられています。再発のリスクという点を十分考慮して判断することが大切です。
以上、腎臓がんの治療法についての解説でした。