07.乳がん

乳がんハーセプチン以降の新しい薬(乳がんの新薬)

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乳がんの新しい薬(乳がんの新薬)

新たなHER2阻害剤

HER2を介したがん細胞の増殖を抑える新薬として、ペルツズマブ(パージェタ)とTDM1(ティーディーエムワンと呼びます。薬剤名はカドサイラ)が注目されています。

ペルツズマブはトラスツズマブ(ハーセプチン)とは違うHER2の部位を阻害して、がん細胞の増殖を抑えます。TDM1はトラスツズマブに微小管を阻害する抗がん剤が結合した薬で、1剤で分子標的治療と化学療法を兼ね備えています。

この2つの薬が注目される理由は、ただ単に新薬だからと言うわけではありません。術前にペルツズマブとトラスツズマブを一緒に投与したり、TDM1だけを投与することで、HER2陽性乳がんの腫瘍退縮に強い効果があることが報告されています。

TDM1は抗がん剤を含む薬ですが、HER2陽性のがん細胞だけに取り込まれて効くように工夫されています。どちらも従来の抗がん剤を加えることなく、治療効果が期待されますし、抗がん剤を加えることによる副作用を軽減することができます。HER2陽性乳がんの治療の要として、ペルツズマブとTDM1は期待されています。

mTOR阻害剤

そもそもHER2は、細胞の膜に在って細胞の外からの刺激を中へ伝える役割を果たしています。いっぽう、細胞の中に在って細胞の増殖を調節する因子の1つが、mTOR(エムトールと呼びます)です。これを抑える薬がmTOR阻害剤という分子標的治療薬で、進行した腎がんの治療薬として実地臨床に使われています。

乳がんでもホルモン剤が効かなくなった再発乳がんを対象に臨床試験が行われ、mTOR阻害剤をアロマターゼ阻害剤と組み合わせることで、予後の延長が報告されました。

どのようなタイプの乳がんに効果があるのかさらなる検討が必要ですが、HER2阻害剤とは異なる方法で、効果的にがん細胞の増殖を抑えることが期待されます。

PARP阻害剤

乳がんは分子マーカーと呼ばれる遺伝子の発現(表現型)によって、がんの特徴が分類される時代になりました。

薬物療法の効果予測として、ホルモン感受性の有無、HER2陽性の有無は、すでに実地臨床に使われている分子マーカーの評価です。そこで、ホルモン療法も効かない、トラスツマブも効かない乳がんがクローズアップされています。

これは「トリプルネガティブ乳がん」と言って、ER、PgR、HER2の3つ(トリプル)の効果予測因子が陰性(ネガティブ)の乳がんです。一般的にKi67は高値です。

この乳がんは、がん細胞の増殖因子が増えたり、がん抑制遺伝子が変異したりしています。家族性乳がんに関連する遺伝子であるBRCA1の変異も多く見られます。悪性度の高い乳がんであるため、シコリが急に大きくなり、再発しやすいことが知られています。

BRCA1の本来の細胞での働きは、さまざまな原因で壊れかけた遺伝子を修復する作用であることがわかっています。トリプルネガティブ乳がんでは、BRCA1が働かなくなっているものが多いことから、遺伝子修復を行うPARP(「パープ」と呼びます)という酵素が高くなっています。

そこで、このPARPを阻害することで、がん細胞は自分の細胞を修復できなくなることから、死滅する運命を辿ります。PARPを阻害する薬が開発され、トリプルネガティブ乳がんかつBRCA1が働かなくなっているような症例を対象に臨床試験が進められています。

以上、乳がんの新しい薬についての解説でした。

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本村ユウジ
がん治療専門のアドバイザー・本村です。

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