ホルモン療法による副作用は、女性ホルモンが作用する体の機能を乱すことが原因です。
主な作用の部位は、子宮や膣の女性生殖器、骨、そして脳、うつ状態になるなどの精神的影響です。すべてに共通した副作用として、更年期障害に似た症状が出ます。
のぼせ、発汗、いらいら、落ち込み、などです。膣の分泌が増えたり、逆に膣の乾燥から性交痛が出現したりすることもあります。また、子宮体がんのリスクも高まります。
タモキシフェンを内服された人の数百人に1人の頻度で、子宮体がんが発生します。タモキシフェンを内服している人、あるいは数年前まで内服されていた人は、年に1回婦人科検診を受けることが推奨されます。
アロマターゼ阻害剤は、関節痛や骨密度の低下が知られています。特に、内服前から骨密度が低下されているような人は、十分注意が必要です。アロマターゼ阻害剤を内服する際には、半年から1年に1回、骨密度の測定が必要です。
黄体ホルモン分泌刺激ホルモン抑制剤によって、卵巣機能が停止して、見かけ上2年間は閉経した状態になります。抗がん剤による副作用でも卵巣機能が停止したり、廃絶したりすることがあります。
乳がん治療の観点からは、女性ホルモンを下げることは再発の予防として、好ましいことです。しかし、妊娠・出産の高齢化も普通のことになってきておりM乳がんの治療の後に出産を希望される人も多くなりました。
黄体ホルモン分泌刺激ホルモン抑制剤を2年間投与されることによって、30代の女性が閉経してしまう可能性もあります。さまざまな観点から治療方針を決めていくことが重要です。
以上、ホルモン治療の副作用についての解説でした。