乳がんは、浸潤の有無、再発の有無、遠隔転移の有無などによって、治療方針が大きく分かれています。今は、乳がんの病状に応じて、手術、薬物、放射線を組み合わせて治療する時代です。
たとえば、肺に転移した場合は「乳がんの肺転移」と呼びます。肺にあってもその性質は乳がんであり、もともと肺から発生する「肺がん」とは異なります。
このように遠隔転移をする乳がんを総称して「転移性乳がん」と呼びます。乳がんが「検査で肺に転移して再発したことが確認された」とも表現したりします。
この表現は、乳房にがんが見つかった時点で、すでに遠隔転移を有する場合(Ⅳ期乳がん)と区別するために使われることもあります。
さらに、再発乳がんの中でも、手術をした部分だけに再発することを「局所再発」と呼びます。長い間治療をしないでいると、乳がんが皮膚や胸壁に及んでしまい、そのままではすぐに手術できない場合もあります。これを「局所進行乳がん」と呼びます。
乳管内進展が手術のカギ
MRIやCTなどの画像診断技術の進歩に伴って、適切な範囲の切除を心がける手術が行われる時代になりました。
乳房の3次元画像を構築して、乳房にあらかじめ切除する範囲をマーキングして、手術する方法も試みられています。
乳がんだからと言って、乳房を広く切除する時代は終わり、手術後の整容性も考慮しつつ、必要十分な範囲を治療することが求められています。