乳がんの近年の急増の背景としては、日本人の食生活が欧米化したことで脂肪エネルギーの摂取比率が高まったこと、女性の社会進出に伴う未婚の女性や高齢出産の増加などが挙げられています。
高脂肪・高タンパクの食事をとる機会が多くなり、そのため、体格や体質も欧米人と近似してきたことなどが主な原因のようです。過剰栄養による肥満は、乳がんのリスク(危険因子)の1つ(肥満度が20%以上の人は注意が必要)です。
また、乳がんの発生にはエストロゲン(女性ホルモン)が関与するとされ、初潮年齢の早い人、閉経年齢の遅い人、子供の数が少ない人、最初の出産年齢が高い人、更年期障害に対してホルモン補充療法を行った人も乳がんのリスクが高まるのではないかと考えられています。
体内のエストロゲン・レベルが高いときや、経口避妊薬や閉経後のホルモン補充療法によって乳がんのリスクが高まることは、欧米のデータから明らかにされています。
生理・生殖要因としては、初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、出産歴がない、初産年齢が遅いことがリスク要因とされています。
食事・栄養素に関しては、野菜・果物、食物繊維、イソフラボンなどが注目されているものの、十分に根拠が揃っているものはまだありません。過度の飲酒習慣により乳がんリスクが高くなることや、また、運動による乳がん予防効果が示唆されています。
男性もごく稀に乳がんにかかります。年間の死亡数で女性の乳がんの100分の1以下という低率の割合ですが、女性の乳がんに比べて生存率が低い(予後が悪い)ことが知られています。
乳がんが女性に多い原因
乳がんは女性の場合に限りません。男性にも乳腺があるため、当然、乳がんにかかることがあります。では、なぜ女性に多いのかというと、それは、乳がんが「女性ホルモン」に大きく関係しているからと考えられています。
女性ホルモンが乳がんの直接の発生原因ではありませんが、それによって乳がんができる下地がつくられる、あるいは、乳がんをつくる細胞を活発化させる作用が働いている、ということです。
女性は生理がある間は、この女性ホルモンのレベルが高いだけでなく、生理のある期間が長ければ長いほど乳がんになりやすいことになります。
以上、乳がんの原因についての解説でした。