子宮頸がんの治療法は、がんの進行期や組織型によって異なります。がんが上皮内にとどまっているステージ0期~浸潤が浅いⅠa1期なら、局所治療が中心となります。
具体的には膣から器具を入れて子宮頸部の一部を切除する「円錐切除術」という手術を行うのが標準治療です。妊娠を希望しない場合や円錐切除術での完治が難しい場合は、単純子宮全摘出術が適用されることもあります。
ステージⅠa2期では、子宮の周りの組織をやや広めに切除する準広汎子宮全摘出術を行い、転移の可能性に備えて骨盤リンパ節の郭清も行います。
ステージⅠb期~Ⅱ期では、広汎子宮全摘出術で子宮と膣の一部、卵巣、卵管を摘出。骨盤リンパ節の郭清を行うのが標準です。放射線療法や化学療法が追加されることもあります。
ステージⅢ期以降は放射線療法と化学療法が中心に
がんの浸潤が進んでいるステージⅢ期では、放射線療法が治療の中心になります。がんが遠くに転移している可能性を考え、同時に化学療法も行います。Ⅳ期では、病状に応じて放射線療法や化学療法が選択されます。
子宮頸がんの組織型
子宮頸部の表面は、膣に近い部分が「扁平上皮」、子宮体部に近い部分が「腺上皮」という上皮細胞で覆われています。
そして、がんが発生した組織によって「扁平上皮がん」、「腺がん」、両方の性質をもつ「腺扁平上皮がん」という「組織型」に分類されます。
子宮頸がんの治療法を選択する際は、進行期に加えて組織型も考慮されます。ちなみに子宮内膜は腺上皮で覆われているので、子宮体がんはほとんどが腺がんです。
子宮頸がんの進行期(ステージ分類)
・0期:がんが子宮頸部の上皮内にとどまっている
・Ⅰa期:肉眼では見えず、がんの浸潤が深さ5mm以内、広がりが7mmを超えない
Ⅰa1期:がんの浸潤が深さ3mm以内、広がりが7mmを超えない
Ⅰa2期:がんの浸潤が深さ3mmを超えるが5mm以内、広がりが7mmを超えない
・Ⅰb期:肉眼で病巣がわかり、がんが子宮頸部にとどまっている
Ⅰb1期:がんの広がりが4cm以内
Ⅰb2期:がんの広がりが4cmを超える
・Ⅱa期:がんが膣壁に広がっているが、子宮の周囲の組織には広がっていない
Ⅱa1期:がんの広がりが4cm以内
Ⅱa2期:がんの広がりが4cmを超える
・Ⅱb期:がんが子宮の周囲の組織に広がっているが、骨盤壁まで達していない
・Ⅲa期:がんの膣壁への広がりは下1/3に達するが、周囲の組織への広がりは骨盤壁にまでは達していない
・Ⅲb期:周囲の組織への広がりが骨盤壁にまでは達している。または、水腎症や無機能腎が見られる
・Ⅳa期:がんが膀胱や直腸に粘膜に広がっている
・Ⅳb期:小骨盤腔を超えてがんの転移がある
以上、子宮頸がんの治療法についての解説でした。
がんと診断されたあと、どのような治療を選び、日常生活でどんなケアをしていくのかで、その後の人生は大きく変わります。
納得できる判断をするためには正しい知識が必要です。