精巣がんは精巣にできた悪性腫瘍です。組織型としてセミノーマと非セミノーマがあり、非セミノーマのほうが進行や転移が速い傾向にあります。
精巣がんは抗がん剤が効きやすいがんです。ブレオマイシン、エトポシド、シスプラチンを組み合わせた「BEP療法」が標準的な治療になっています。
進行度(ステージ)と治療方針は?
治療方針は、病期とリスク分類(IGCCCGのリスク分類)によって決まります。病期は、治療と診断を兼ねた手術(高位精巣摘除術)を行い、手術後の病理検査や腫瘍マーカーなどの結果をもとに決定します。
具体的には、Ⅰ期(転移が認められない)、Ⅱ期(大動脈のまわりにある後腹膜リンパ節などに転移がある)、Ⅲ期(他臓器や横隔膜にあるリンパ節より転移が広がっている)があります。
Ⅰ期では、再発リスクが高いときには予防的化学療法を施行する場合がありますが、最近では経過観察を選択することが多くなっています。Ⅱ期、Ⅲ期では、化学療法をするのが一般的です。
化学療法を続けて、腫瘍マーカーが正常化した後、手術ができる場合は転移巣を手術します。そこで転移が見つからなければ「治癒」とみなされ、経過観察となります。病巣が残っていた場合は、追加で2コースほど補助化学療法を行うのが一般的です。
薬物療法の目的・使われる薬は?
精巣がんでは、シスプラチンを軸にして、いくつかの抗がん剤を組み合わせていきます。
標準治療はBEP療法ですが、間質性肺炎が起こりやすいため、患者さんによっては、エトポシド、イホスファミド、シスプラチンを組み合わせた「VIP療法」を選択することもあります。
リスクが低い人の場合では、エトポシドとシスプラチンの2剤ですむ「EP療法」を行うこともあります。
パクリタキセル、イホスファミド、シスプラチンを組み合わせた「TIP療法」やパクリタキセル、ゲムシタビン、シスプラチンを組み合わせた「TGP療法」は、最初の化学療法のあとに再発が認められた場合に行われます。
以上、精巣がんについての解説でした。