精巣がんの自覚症状
精巣がんの初期症状には、痛みのない精巣のしこりや腫れがあります。
もともと精巣は左右の大きさが同一ではないものの、痛みのないまま片方が大きくなってきたら要注意です。大きくはならず、硬くなるだけのこともあります。
これがもう少し進行すると、下腹部の鈍痛や重圧感が30~40パーセントの人に現れ、さらに一部の人では、精巣にも痛みが生じてきます。がんが転移すると、腹痛、首のリンパ節の腫れと痛み、乳首の腫れと痛みなどが現れます。
この時点まで進むと、治療は困難になっています。国立がんセンターのウェブサイトは、睾丸が腫れたり硬くなった場合には、「部屋を暗くして陰嚢の裏から光を当て、光線がどの程度通るかを確認するように」と記したことがあります。
光が通らないようならがんの疑いが濃くなるということです。
精巣がんの検査と診断方法
病院(泌尿器科)で診断を受けると、医師はまず睾丸の触診を行います。
ついで肛門から指を入れ、他の疾患の可能性も調べるかもしれません。医師はそれが日常的な仕事なので、診断を受けることを恥ずかしがったり躊躇する必要はまったくありません。触診によっていくらかでもがんの疑いがあれば、超音波診断、血液検査などを行います。
精巣がんの病巣は、特殊な物質(腫瘍マーカー)を血液中に放出します。「アルファ胎児性たんぱく質(AFP)」と呼ばれる特異なたんぱく質や、ふつうは女性の胎盤から分泌される性腺刺激ホルモンの一種である「ヒト絨毛性ゴナドトロピン・ベータサブユニット(hCGβ)」乳酸脱水素酵素(LDH)などです。
血液検査でこれらを調べることが、重要な診断材料になります。ただしセミノーマでは、AFPの値は上昇しません。
また、多くのがんでは確定診断を下すために組織生検を行いますが、精巣がんのがん細胞は、非常に転移しやすい性質をもっています。そのため、細い針で精巣から採取したがん細胞が、針を引き抜く際にわずかでもこぼれ落ちると、それが転移を引き起こすおそれがあります。そこで精巣がんでは一般に、外科切除後に組織生検が行われます。
以上、精巣がんについての解説でした。