精巣がんは男性の生殖器に生じるがんのひとつで、精巣(睾丸)に発生します。
日本では比較的めずらしく、発症率は長年、10万人当たり1~2人を推移しています。男性のすべてのがんの1パーセント程度を占めるにすぎないものの、乳児から高齢者までどの年代でも生じ、とりわけ生殖器の活動が活発な乳幼児期と思春期~30歳代に、発症率が高くなります。
精巣は、大きめのウズラの卵のような形をしており、よく伸び縮みする袋(陰嚢)に2個が入って、陰茎の背後に吊り下げられています。左右の大きさに多少の違いがあったり、2個の位置が左右で少しずれていても異常ではありません。
精巣の内部には、男性ホルモンを分泌するセルトリ細胞と精子をつくる胚細胞(精原細胞や精母細胞)の2種類があります。精巣がんの95パーセントは、このうちの胚細胞のがん化によって発生します。
胚細胞から生じるがんはさらに、「セミノーマ」と「非セミノーマ」に大別されます。セミノーマは、胚細胞が精子に分化しつつある途中でがん化したものです。
これに対して、非セミノーマは、胚細胞が胎児や胎盤に分化する過程で生じたがんで、卵黄嚢腫や胎児性がん、奇形がんなどがあります。(これらのがん細胞が1個でもあれば非セミノーマと分類されます)これらのうちでは非セミノーマのほうが転移しやすく、悪性度が高いとされますが、いずれも抗がん剤の効果が高く、治療しやすいがんといえます。
以上、精巣がんについての解説でした。