肝内胆管がんは、放射線に対する抵抗力が強い、つまり「放射線治療の効果が出にくい」がんとされています。また、肝臓が放射線に弱いこともあって、従来は放射線治療を行うのは外科治療(切除)ができない患者に対してでした。
しかし近年、適切な手法で照射を行えば、ある程度の治療効果が得られることがわかってきました。そこで最近は、手術ができない患者だけではなく、手術後の補助療法としても利用されるようになっています。また、化学療法と放射線治療を組み合わせることにより、治療効果を高める試みもあります。
放射線治療の方法
放射線治療には、おもに「外部照射」と「内部照射」があります。肝内胆管がんでは、外部照射と内部照射のどちらか、もしくは両方を組み合わせて治療を行います。そのほか、手術の途中でがん病巣に照射する「術中照射」を行っている病院もあります。
1.外部照射
外部照射は、体外から放射線をあてます。放射線をなるべく腫瘍に集中するように治療計画を立てます。X線治療が中心ですが、粒子線治療の効果も期待されます。
2.内部照射
胆管の内部に放射線源(一般には針金状のイリジウム)を送り込みます。この方法を用いると、腫瘍に放射線を直接あてることができるため、治療効果が高いと考えられます。反面、肝臓にも強い放射線があたるため、副作用が大きくなります。内部照射と外部照射を併用するときには、外部照射の線量を少なくします。
3.術中照射
手術で腫瘍を切除した後、残った組織に放射線を直接あて、再発を予防する方法です。照射にはふつう電子線を使用します。治療効果が高いと考えられますが、いちどに多くの放射線量をあてるため、副作用が大きくなる傾向があります。
放射線治療の副作用
基本的には、肝細胞がんの放射線治療の副作用と同じでとくに、肝臓の機能低下、胆管の炎症や狭窄(胆管の内部が狭くなる)、それに消化管の出血に注意が必要です。
治療成績
肝内胆管がんではなく、肝門部の胆管がんの治療例ですが、放射線治療は手術後の補助療法として有効だとする筑波大学の報告があります。
それによると、進行がんの手術中、または手術後に放射線治療を受けたグループと受けないグループを比較したところ、前者は5年生存率が34パーセントでしたが、後者はわずか14パーセントだったとのことです。
また、日本放射線科専門医会・医会がまとめた「放射線診療ガイドライン」によれば、切除できない胆管系のがんに対する放射線治療単独や、化学療法併用による生存期間の平均は、4~17力月とされています。
以上、胆管がんの放射線治療についての解説でした。