肝臓がんはがんの個数と広がり、大きさによって治療法が検討されます。「3個以下、最大の腫瘍が3センチ以上」の場合は肝臓の切除が第1の選択肢になります。穿刺(せんし)療法は、大きな腫傷にはあまり適していません。
肝臓の機能が低下しているときには、肝動脈塞栓療法や動注療法が行われます。大きな腫瘍のみを切除して、これらの治療法を追加することもあります。また、放射線治療の効果が期待できる場合もあります。
肝臓の機能が不良のときには、積極的ながんの治療は困難なことが少なくありません。がんが1個だけで、最大の直径が5センチ以下なら、肝臓移植も検討範囲に入ります。ただし、離れた臓器に転移がなく、また、血管内をがんが侵していない場合に限ります。
腫瘍が4個以上、最大径3センチ以下の場合は?
最初の選択肢は、肝動脈塞栓療法です。腫瘍が肝臓全体に散らばり数が多いときには、肝切除や穿刺療法は不可能です。これに対して肝動脈塞栓療法は、1回の治療ですべての腫瘍にダメージを与えることを期待できます。
とはいえ、いちどの治療でがんを完全に壊死させることは難しいので、治療後、どのくらい治療効果があったかを画像診断などで確認する必要があります。再発の兆候があれば、同様の治療をくり返さなければなりません。
肝動脈塞栓療法と同様、がんのすべてを攻撃するという意味で、抗がん剤の肝動脈注入療法(動注療法)も効果があります。ただし、1回の治療効果が小さいため、くり返し治療を行う必要があります。肝臓の機能が不良のときには、積極的治療が困難なこともあります。
腫瘍が4個以上、最大径3センチ以上
このような症例の治療は困難です。腫瘍が肝臓の一部に偏って存在し、肝臓の機能がよければ、切除することがもっとも有効だとえいます。ただし、切除範囲が大きくなるため、肝不全を起こす危険があります。まず、肝切除に熟練した医師のいる病院で見解を聞くことが大切です。
肝切除が困難なときには、肝動脈塞栓療法か動注療法が基本的な治療法となります。しかし、これらの治療単独では、すべてのがんを壊死させることは困難です。そこで、他の治療を組み合わせる集学的治療も試みられています。
たとえば、放射線治療と肝動脈塞栓療法を組み合わせるといった治療です。肝機能が不良の場合は、がんの積極的な治療はできません。
以上、肝臓がんの治療についての解説でした。